「邪悪になるな」グーグルの行動規範から消える 指摘される“灰色”プロジェクトたち

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◆社員が辞めた「灰色の」プロジェクト
 テック系ニュースサイト『フューチャリズム』は21日、グーグルが倫理的に物議を醸すプロジェクトを進めていると報じた。そうした倫理的に「灰色な」プロジェクトの筆頭に挙げられるのが、アメリカ国防総省が立案した「プロジェクト・メイブン」に同社が協力していたことである。同プロジェクトは、ドローン兵器にAIを実装することを目的としている。3月に明らかになったこの事実に関しては、何千人もの社員から抗議の声があがり、何人かの社員は抗議のために職を辞している。

 また、今月はじめに開催された同社の開発者会議で発表されたAI技術「グーグル・デュプレックス」についても、「フェイク」ではないかと疑われている。同技術は、音声AIがレストランや美容院のスタッフに対して電話予約する、というものである。開発者会議では同技術に関するデモが披露されたが、デモからは人ではなく音声AIが電話予約をしたという事実に関する確かな証拠が得られない、という声が上がっている。

◆ゴールに導く「利己的な元帳」
 テック系ニュースサイト『The Verge』も17日、野心的だが倫理的に物議を醸すグーグルのプロジェクトに関する動画を入手したと報じた。その動画は、2016年後半に同社の最先端研究グループ「グーグル X」を率いるニック・フォスター氏が制作したとされている。あくまで社内でのみ共有されていた動画では、同社がユーザーの目標実現を助け、より多くのデータを収集するために製品をユーザーに合わせてカスタマイズし、貧困や病気といった世界的な問題を解決するために全人類の行動を導く、というデータ収集の未来が描かれている。

 以上の動画は「利己的な元帳」というタイトルが付けられているのだが、このタイトルは1976年に出版された遺伝学者リチャード・ドーキンス氏の著作『利己的な遺伝子』にオマージュを捧げたもの、とのこと。さらに、動画のナレーションはユーザ情報を遺伝学になぞらえて説明している。動画では、人々の携帯電話の利用方法が、フォスター氏が「元帳」と呼ぶ「常に変化している人は何者かという表現」を生み出している、と語られている。

 The Vergeが動画に関してグーグルにコメントを求めたところ、スポークスパーソンから、件の動画はデザインチームが数年前から取り入れている「スペキュラティブデザイン」(問題を提起するデザイン発想法)として知られる手法を駆使した思考実験であり、同社の現在および未来の製品とは何ら関係がない、というコメントが得られた。

Text by 吉本 幸記