G7広島サミットで露呈した一致団結の難しさ

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 広島での主要7ヶ国首脳会議(G7サミット)が終わった。今回のサミットではG7諸国のほか、インドやブラジル、韓国、オーストラリア、インドネシア、ベトナムなど多くの国が招待され、ウクライナのゼレンスキー大統領が電撃的に対面で参加したことは特に印象的だった。

 3日間では多くの課題が議論されたが、G7諸国はロシアによる不法な侵略に直面するなか、ウクライナに対して引き続き軍事や人道、財政などあらゆる面から最大限の支援を行っていくことで一致した。また、経済安全保障では、G7は中国やロシアによる経済依存関係を武器化した経済的威圧に強く懸念を表明し、自制を求めていくとともにそれに対抗するための新たな枠組みを創設していくことで一致した。

◆ゼレンスキー大統領の広島訪問
 今回の最大のトピックはゼレンスキー大統領の広島訪問だろう。当初はオンライン参加の予定だったが、電撃訪問になった背景はいくつかあると思う。

 最大の理由は、ウクライナ情勢で立場を明確にしない国々との交渉だ。今回のサミットにはインドやブラジルなどグローバルサウスに属する多くの国が参加している。今日でもロシアのプーチン大統領が強気の姿勢を維持できる背景には、ウクライナ情勢で立場を明確にしないインドやブラジルなどとの密な経済関係がある。特にインドはグローバルサウスの盟主であり、ロシアとの関係が深い。今回の広島サミットは、ゼレンスキー大統領にとってはインドなどグローバルサウスの国々と相次いで会談し、自らの立場への理解を要請できる絶好のチャンスだった。

 その後、ゼレンスキー大統領は岸田首相と会談し、原爆資料館を訪れ、平和公園で献花するなどした。核の脅威に直面する国家の大統領が被爆地を訪問する姿は象徴的だった。

Text by 本田英寿