威嚇エスカレートさせる北朝鮮 習近平政権3期目の対北政策は?

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 3期目の習近平国家主席は、今後さらに米国や台湾に対して強硬な姿勢で臨むことが予想される。10月の共産党大会の席で習氏は、2035年までに社会主義の現代化をほぼ確実にし、中華人民共和国建国100年となる2049年までに社会主義現代化強国を建設する方針を明らかにした。緊張が続く台湾についても、台湾の完全な統一は必ず実現できるとの意志を示し、平和的な統一を堅持するが武力行使を決して放棄しないと改めてけん制した。一方、昨今ミサイル発射をエスカレートさせ7回目の核実験も辞さない構えの北朝鮮に対し、3期目でどのような姿勢で接していくのだろうか。

◆軍事的威嚇をエスカレートさせる北朝鮮
 北朝鮮はこのところ軍事的威嚇をエスカレートさせている。10月31日から実施された米韓よる合同軍事訓練「ビジラント・ストーム」に北朝鮮は反発し、11月2日から5日の間に弾道ミサイルや空対地ミサイルなど30発以上を発射した。北朝鮮は米韓による軍事演習を攻撃的で挑発的だと非難し、今後とも断固たる措置で対抗すると警告している。米韓などは今後北朝鮮が7回目の核実験を実施する恐れがあるとしている。

 北朝鮮が過剰な行動に出ている背景は二つある。一つは、北朝鮮が非核化で進展を見せない限り対話に応じないとするバイデン政権の戦略で、バイデン政権になってほぼ2年間、米朝の間では沈黙が続いており、米国との国交正常化を求める北朝鮮の不満は積もりに積もっている。もう一つは、5月に尹政権が誕生した韓国が、対北朝鮮で日米との関係重視路線に転じ、米韓の合同軍事演習を強化していることだ。

Text by 本田英寿