東京にも中国の「闇警察署」? 世界54ヶ所に設置とNGO報告

Lindsey Parnaby / PA via AP

 スペインに拠点を置くNGOセーフガード・ディフェンダーズが明らかにしたところによると、中国は世界5大陸30ヶ国に少なくとも54の警察拠点を違法に設置しているという。その狙いは?

◆海外110番
 セーフガード・ディフェンダーズは、アジアの人権擁護に携わる団体だ。このNGOが9月に発表した報告書によれば、中国は世界中に「海外110番」と名付けた「事務所」を開設している。表向きには、免許証の更新や婚姻届けなど、当該国在住の中国国民の行政手続きの援助を目的としている。だが、実のところは国外に避難している反体制派をスパイし脅迫する施設だとセーフガード・デファンダーズは見ている。

◆23万人の中国人が「自発的に」帰国
 同団体の調べによれば、2021年4月から2022年7月の間に、外国に住む中国人のうち、23万人が「自発的に」帰国させられている。帰国するよう説得するため使われるのは、まず本国で何らかの法律に違反したという嫌疑だ。ボイス・オブ・アメリカが公開したビデオには、マドリッドの「海外110番」施設で「環境に対する犯罪」で指名手配された中国人が、中国警察のリモート尋問を受け、最終的に罪に直面するため中国に戻りたいと告白する様子が映っている。

 中国に残った家族への圧力も「説得」に有効だ。子供が学校に通えないようにする、身内にさまざまな制限をかける、処罰の対象にするなどと言われ、やむなく「自発的な」帰国を選択することになるという。

 さらに、それでも「説得」に応じない場合、強制的な手段が取られる可能性もあると見られる。米国では、米国在住の中国人を強制的に帰国させようとした中国人7人が起訴される事態が起きているからだ(20minutes紙、10/28)。

Text by 冠ゆき