“日本イベント”に沸いたスイス 日本人の忘れた「宝」に鋭い視線
「芸術の秋」を迎えたスイスでは日本文化が花盛り。日本を癒し続けてきた日本文化をもう一度見直して、元気を取り戻したい。もしかしたら日本人が忘れてしまった「宝」が再発見できるかもしれない。
◆日本祭りに見られた日本の美徳
スイスでは公立学校の夏休みを州ごとにずらして移動の混雑を軽減させている。このため、各州のイベントは州民が戻って来た頃を見計らって開催される。そのため9月には毎週のように各地で日本祭りも開催され、今年はとくに目についた。「こんなに続いたら忙しすぎてどれにも行く気がなくなっちゃう!」とぼやいているうち、秋祭とは神に収穫を感謝する神事だったことを思い出した。そんな感謝を現代の都会生活では忘れていたことにふと気づかされたのだった。
スイスで開かれる日本祭りの一つ、イタリア語圏ベリンツォーナ・ジャパン祭には、「東京剣舞会エッジ-志伝流-」の6人が日本から訪れ演舞を3回も披露した。日本の伝統文化である剣舞や舞を世界に発信し、また、剣舞を通じた社会貢献を目指しているという彼らは、今回のチャンスを逃さないよう、自腹を切ってスイス公演に踏み切ったと聞いて、頭が下がる思いがした。
そんな剣舞会の面々はスイスをとても気に入ったと言い、「お祭りですから、日本でも小競り合いみたいなことはよくあるのですが、ここでは皆さん忍耐強くて……。演者と写真を撮ってもよいことになっているにもかかわらず、毎回撮影してよいかと聞かれもしました!」と、とくに各公演でのスイス人の礼儀正しさに驚いたという。日本好きのスイス人は、私たち日本人より日本の美徳を自分のものにしているようで、背筋が伸びる思いをした。