消防士による放火事件、仏で相次ぐ 火をつけずにはいられない驚きの理由

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 猛暑と干ばつで山火事が頻発しているヨーロッパ。フランスも例外ではない。しかも、ここにきて消防団員による放火が次々と判明し、衝撃を与えている。

◆6万ヘクタール以上が燃え尽きたフランス
 フランスでは、今年8月12日までに山火事247件、燃えた面積4万8456ヘクタールを記録した。これは、近年最も山火事の被害が大きかった2019年の4万3602ヘクタールを大きく上回る数値だ。(ウェスト・フランス紙、8/12)

 山火事の原因はさまざまで、タバコなどの火の不始末のほか、農機具から出た火花からの出火や、家族や隣人との諍いからの放火などが明らかになっている。

◆消防士の80%近くはボランティア
 7月末、フランス南部のエロー県では37歳のボランティア消防士が、放火の疑いで逮捕された。2人の子供の父親でもあるこの消防士は、住んでいる自治体の副市長も務めている人物でもあり、住民は大きなショックを受けた。同容疑者は、すでに今年5月から起きた火事のうち8件についてその疑いを認めている。(フランス・ブルー、7/31)

 ボランティア消防士とは、本業以外で消防士の活動をする人たちのことで、日本の消防団員にあたる。フランスには20万人近くのボランティア消防士がいて、フランス全国の消防士の79%を占めている。本業でないとはいえ、体力、医学的・心理的条件を満たす必要があり、研修も必須で、月に平均6回出動する主要な消防戦力だ。(フランス消防局

Text by 冠ゆき