9時間寝ても眠いなら注意、体調悪化サインの「過眠症」の可能性

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たっぷりと睡眠をとることはとても身体に良いことだ。だが、あまりにも長い眠りを必要としているようなら、身体と心に異変が起きているサインかもしれない。8時間以上寝てもまだ眠い状態は過眠と呼ばれ、各種健康問題の前ぶれになっていることがある。

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◆9時間でも寝足りないなら……
長い時間眠ったはずなのにまだ眠気が残るという状態は、睡眠障害の一種である「過眠症」と呼ばれる。米ヘルス・ライン誌は、人口の約2%にこのような症状がみられると説明している。理想的な睡眠時間は年齢によっても異なるが、成人では通常7〜8時間で足りるのが普通だ。これに対し過眠症の場合、10〜12時間眠らないと眠気を感じてしまう。人によっては、休日に15時間ほど眠り込むこともある。

ただし、人より多少長い眠りが必要だからといって、過剰に気にする必要はない。米スリープ・ファウンデーション誌は、必要な眠りは人によって異なると述べている。たとえばお年寄りは6時間で寝足りる人も多く、反対にアスリートなどは通常の人々よりも1時間多く眠ることがある。同誌は睡眠時間が9時間を超え、さらに日中に強い眠気を覚えるか長い昼寝を必要とする場合、過眠症の疑いがあるとしている。

◆過眠症と健康問題
過眠症への対策としては、単に長時間眠って帳尻を合わせれば良いというわけではない。過眠は各種の健康問題との関連が指摘されている。近年の研究によると、毎晩9〜10時間眠っている人々は、平均的な睡眠時間である7〜8時間睡眠の人々と比べ、6年以内に肥満になる可能性が21%高いという。さらに、寝過ぎが神経伝達物質を乱すことで頭痛を招くことがある。このほか米ウェブMD誌は、腰痛、うつ、心臓病に関係し、死亡率も有意に高まることが研究データによって示されている。

米医療機関のジョンズ・ホプキンス・メディスンはさらに、2型糖尿病とも関連があるとしている。しかし、過眠によってこうした病気が生じると断言することはできない。ジョンズ・ホプキンス大学医学部のポロツキー教授は、おそらく因果関係が逆ではないかと指摘する。過眠の人々はそもそもこれらの疾病にかかっていることがあり、それによって長い睡眠時間が求められるようになるとの見解だ。過眠症は、各種異変のシグナルでもあるようだ。

◆一時的な寝不足か、ほかの病気のサインか
一時的な過眠は、睡眠負債を解消しようとする自然な反応であることがある。睡眠負債とは、本来必要な睡眠時間を満たせていない状態のことだ。たとえば忙しい平日に寝不足が続くと、週末に寝溜めをすることになる。睡眠負債も決して健康に良いとはいえないが、スリープ・ファウンデーション誌は、これ以外にもさらに重大な疾病が根本原因になっている可能性があると指摘する。

そのひとつが睡眠時無呼吸症候群だ。いびきや息苦しさで満足に熟睡できないため、長時間寝ても日中に眠気が残ることになる。病院を受診すれば、睡眠中の呼吸を助けるCPAP(シーパップ)と呼ばれる機器を借り受けるなどの治療が可能だ。このほか、神経細胞の異常により強い眠気を催すナルコレプシーや、うつ病または不安障害などが過眠を招いていることもある。薬や生活習慣の改善などで治療できるケースも多いので、症状に悩んでいる方はぜひ医師に相談したい。

スリープ・ファウンデーション誌も病院の受診を勧め、そのうえで、自身でできる改善策をアドバイスしている。毎日同じ就寝・起床時間を繰り返し、就寝前はリラックスできるようスマホやパソコンなどの利用を避けるとよい。日々の運動と日光浴も効果的だ。改善しない場合は過眠症を疑い、根本原因の治療に臨みたい。これまでよりもずっと生産的な毎日を送れるようになるかもしれない。

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Text by 青葉やまと