カブール空港テロだけではない、依然続くイスラム国のテロ活動

イスラム国の武装集団による攻撃で殺された民間人の棺(10月27日)|Anmar Khalil / AP Photo

 イスラム国の指導者アブ・バクル・アル・バグダディ容疑者がシリア北西部で殺害されてから、10月31日でちょうど2年となった。今年は夏にアフガニスタンでタリバンが20年ぶりに実権を奪還し、米軍が完全撤退するなどテロ情勢では大きな動きがあった。国際社会ではアフガニスタンが再びテロの温床となることへの懸念も聞かれる。一方、イスラム国は以前ほどのプレゼンスはまったくないが、依然としてイスラム国関連組織は各地で活動している。

◆テロを繰り返すイスラム国ホラサン州
 米軍撤退直前、カブールの空港付近で大規模なテロが発生し、イスラム国ホラサン州が犯行声明を出した。このテロでは米兵13人も犠牲となった。その後も、イスラム国ホラサン州はタリバンやシーア派モスクなどを狙ったテロを繰り返し、治安上最大の懸念材料となっている。

 米国もイスラム国ホラサン州への警戒を続けている。たとえば、米国情報機関幹部は10月下旬、イスラム国ホラサン州が半年から1年以内にアメリカを攻撃する能力を獲得し、タリバンと関係があるアルカイダ は1年から2年の間に同様の能力を身に着ける恐れがあると指摘した。米国は軍の撤退によって現地のインテリジェンスを入手することが困難となっているので、パキスタン(場合によってはタリバンも?)などとの関係強化に努めている。

◆イラクで生き残るイスラム国
 メディアではほぼ報道されないが、イラクでもイスラム国はテロ活動を続けている。最近でも、イラク中部ディヤラ県で10月26日に銃撃事件があり、11人が死亡、15人が負傷した。事件後、イスラム国が犯行声明を出したが、最近では比較的大規模な事件となった。

Text by 和田大樹