ドル箱・石炭産業手放せず 豪「30年以降も産出・輸出続ける」
世界は気候変動に対処するため、化石燃料からの脱却を目指し、再生可能エネルギーの普及に力を入れつつある。しかし主要な石炭生産国であるオーストラリアは、今後も石炭の生産と輸出を続ける方針だ。世界の流れに逆行する動きだが、脱石炭に踏み切れない事情がある。
◆石炭需要は続く 気候変動対策に消極的
豪資源・水資源相のキース・ピットは、石炭産業の将来は、豪政府が決定するものであり、外国の機関ではないと発言した。国連はOECD諸国に2030年までに脱石炭を求めているが、国際エネルギー機関(IEA)はアジア全体の石炭消費量が今後10年間で増加すると予測していると同氏は説明。今後も石炭の将来は保証されており、オーストラリアがその需要を満たすという重要な役割を担っていると述べた。(CNN)
この発言は、国連の気候特使セルウィン・ハート氏が、世界的な段階的石炭廃止が十分な速度で行われていないと述べたことを受けたものだ。オーストラリアは世界第2位の石炭輸出国で、石炭産業があるため国民一人当たりの二酸化炭素排出量は17トンで、世界平均の5トン未満を大きく上回る。温室効果ガス削減に関する数値目標はアメリカ、EU、イギリスなどと比べて低く設定されている。(同)
2050年までに排出量を正味ゼロにするというネット・ゼロについても、国内では意見が分かれているとボイス・オブ・アメリカ(VOA)は指摘する。「できるだけ早く」達成したいとモリソン首相は述べているが、具体的方策については何も示されていないということだ。
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