衛生パスのため故意にコロナ感染も フランスの反ワクチン派

政府のワクチン接種キャンペーンに反対する人々(ストラスブール、7月17日)|Jean-Francois Badias / AP Photo

 フランスでは、パンデミックの第4波をなんとか回避するため、新型コロナウイルスのワクチン接種キャンペーンのさらなる強化に乗り出した。そのうちの一つが、衛生パスの利用拡大だ。大多数のフランス人はこの方針を肯定的にとらえているが、反ワクチン派のなかには、本末転倒な発想をするケースも出ている。

◆衛生パスが必要な場所
 マクロン大統領の12日の演説にあったように、フランスでは、すでに21日から、50人以上が集まる文化娯楽施設においては衛生パスの提示が必要となっている。具体的には、劇場、遊園地、コンサート会場、スポーツ施設、映画館などがこれにあたり、続いて、8月頭からは、カフェ、レストラン、ショッピングセンター、病院、老人ホーム、医療機関、航空機利用、長距離の列車やバス利用も対象となる。

 この8月からの施行に必要な法案は25日夜、計60時間の協議を経て国民議会で採択された。その内訳は、賛成156票、反対60票、棄権14票だった。(20minutes紙、7/26)

◆衛生パスの取得方法
 衛生パスの取得方法は3通りある。1つ目は、48時間(場合によっては72時間)以内に行われた検査による陰性証明書を用いて取得する方法。2つ目は、フランスが承認しているワクチンのフル接種による取得だ。フル接種とは、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカのワクチンならば2度目の接種から7日経っていること、ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンなら接種から4週間経っていること、また新型コロナに感染した人の場合は1度のみで済む接種から7日経っていることを意味する。3つ目の取得方法は、新型コロナに感染したという陽性証明書による取得だ。陽性が証明されてから11日~6ヶ月の間は、再感染の恐れが限られているという理由によるものだ。

Text by 冠ゆき