欧州一被害の少ないフィンランド、その要因は? コロナ第二波

Markku Ulander / Lehtikuva via AP

 パンデミック第二波に翻弄されるヨーロッパのなかで、比較的浅い傷で立ち直りつつあるのがフィンランドだ。実際、感染率も死亡率も、欧州のなかでは最も低いレベルを保っている。いったい何が他国と違うのだろうか?

◆フィンランドの感染経過
 1月終わり、フィンランドで最初に確認された新型コロナ感染者は武漢出身の中国人観光客だったが、2人目の感染者が確認されたのは、それからひと月経た二月末のことだった。そのころ北欧で確認される陽性者のほとんどはイタリア北部での感染と見られているが、フィンランド2人目の感染者もミラノ滞在からの帰国者だった。保健福祉研究所統計をみると、その後、同国の感染者は3月半ばから5月にかけ上昇するも、夏の間は落ち着いている。その後9月に入って第二波が観察されるが、そのピークも10月頭に過ぎたように見える。

◆気温が低いのに感染者増加率が低い
 実際、11月4日付のウエスト・フランス紙によれば、フィンランドの過去2週間の新規感染者数は、人口10万人につき45.7人で、EU内で最も低い。またその数が、先立つ2週間の感染者数よりも減少しているのは、欧州ではフィンランドだけだ。

 この事実は、これまでたびたび言われてきた「低い気温はウイルスを活発にする」という仮説にもそぐわない。フィンランドは欧州でも1、2を争う気温の低い国だからである。

Text by 冠ゆき