「フェデラー・スニーカー」に視聴者から苦情 フェデラー出演番組を当局が審査
7月初め、テニス界の王者ロジャー・フェデラーがスイスのシューズブランド「オン(On)」と共同開発した、テニスシューズにインスピレーションを得たスニーカー「ザ・ロジャー センターコート ゼロシリーズ」が発売された。1000足限定で、日本でもドーバー ストリート マーケット ギンザにて入手できた。
2010年、チューリヒに設立されたオンの製品は、いまや世界55ヶ国以上7000を超える店に並ぶ。オンの魅力は、なんといっても軽さ。同社は雲の上を走っているような感覚になる靴の特許技術を開発し、ランニングシューズを中心にスニーカーやハイキングシューズ、そしてアパレル商品を発表し続けている。その履き心地をはじめとする優れた機能のため、アスリートたちが履いたり、スイスでも普段履きとして履いている人(男女とも)をよく見かける。
◆フェデラー自身が写真投稿 ブランド側へのアピールだった?
オンは現在のところ、テニスシューズは製造していない。フェデラーとオンが密接につながるきっかけは、2019年春のことだったと思われる。同年5月末、氏が自身のフェイスブックにオンのシューズを履いた姿を投稿したことが一部で話題になった。俯瞰で撮ったこの写真はパリを訪れたときの1枚で、氏はほかの写真もアップして「パリを楽しんでいるよ!」とひと言添えている。オンのロゴがかなり小さくて見づらいが、オンのシューズだとコメントしたユーザーがいた。
この写真に関して、フリーペーパーの20ミヌーテンがオンに取材し、「ロジャー・フェデラーが私たちのシューズを余暇に履いてくれて、たいへん光栄です」との回答を得た。氏はこの写真のほかにも、オンを履いて撮った写真を数ヶ月前からいろいろ掲載し、同社は気づいていたという。氏は同社とは広告の契約もしていないし、同社への投資もしていない。「氏がオンのシューズを履いているのは、彼が履きたいからです」とのことだった。
筆者は、この報道を読んだとき、いつか氏がオンのアンバサダーになる日がくると確信した。シューズのデザインに参画するとまでは思わなかったが、オンにしてみれば、世界中に大勢のファンを持つフェデラーが宣伝に従事してくれれば絶大な影響力が望めるからだ。またフェデラーにとっても、スポンサー契約を結んでいるユニクロは本格的なシューズを手がけていないため、利点は大きいだろうと感じた。
筆者の予感はほぼ的中した。約半年後の11月、オンはフェデラーが起業家(シニアチームメンバーおよび株主)として同社に加わると発表した。「ロジャーがオンのシューズを履いていると知り、彼に連絡を取りました。それで、ロジャーが長年オンのファンだとわかったのです。私たちは一緒に夕食をとるようになりました。友情が深まっていき、彼はテニスコートを離れても生まれながらのリーダーで、起業家の才能にあふれていることが歴然としたのです」(同社コメント)
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