米共和党、2回目のコロナ救済法案「ヒールズ・アクト」提案 8月にも実施か

マコネル上院院内総務(左)、トランプ大統領(右)|Evan Vucci / AP Photo

 新型コロナウイルス感染拡大が続くアメリカで、今年4月から実施されている新型コロナ救済法『ケアズ・アクト(CARES Act)』の一部として失業者に支給されていた週600ドルの特別給付金が7月31日に失効する。

 その後、第一弾に続く救済案として今年5月に民主党が提案し、下院で可決された救済法案「ヒーローズ・アクト(HEROES Act)」に、この特別給付金を2021年1月まで継続する案が盛り込まれたが、共和党が過半数を占める上院は、週600ドルの給付金が「失業者が復職する妨げになっている」として同法案を棚上げにしていた。

 しかし7月に入り、共和党のマコネル上院院内総務が上院で新しい救済案を作成していることをちらつかせ、またムニューシン財務長官も2度目の給付金支給について話し始めた。その後27日になると、マコネル上院院内総務をはじめとする共和党上院議員は、総額1兆ドル(約105兆円)にのぼる2回目の救済案「ヒールズ・アクト(HEALS Act)」を紹介した。
 
◆特別給付金を週600ドルから200ドルに減額
 CBSニュースによると、このヒールズ・アクトでは、1回目のケアズ・アクトと同様に、年収7万5000ドル(約787万5000円)以下の納税者(合法移民含む、カップルの場合は15万ドル)1人につき1200ドル(約12万6000円)、子供を含む扶養者1人につき500ドル(約5万2500円)が支給される。つまり夫婦2人の場合は2400ドル(約25万3000円)、夫婦2人で未成年の子供が3人いる場合は3900ドル(約41万円)が支給されることになる。

 同記事によると、肝心な週600ドルの特別給付金に関してヒールズ・アクトでは10月までに失業保険を前職収入の70%まで調整し、それまでは支給額に連邦政府が毎週200ドルをプラスする提案をしている。

 経済誌フォーチュン(電子版)によると、アメリカでは新型コロナによる失業保険受給者や緊急失業補助金受給者などをすべて合わせると3140万人が週600ドルの給付金を受給していた。しかし、失業保険金額と600ドルを合わせた金額が、受給者の多くが前職で得ていた収入より多かったことから、新型コロナで一時解雇された人々の復職する意思を削ぐ結果となっている、というのが共和党の主張だ。確かに、たとえばもともと週400ドル(約4万2000円)しかもらっていなかった人が毎週プラス600ドルを特別に支給されるなら、復職したくなくなるのも当然かもしれない。

 しかし同時に新型コロナウイルス感染拡大のため、一定の職種に就く人は復職したくでもできない状況にある。また失業保険支給額には一般的に各州独自の上限が設けられており、夫婦で受給した場合はまだしも、独身者の場合で大都市に住む人なら生活費の半分がかろうじてカバーできる程度だ。

Text by 川島 実佳