米共和党、2回目のコロナ救済法案「ヒールズ・アクト」提案 8月にも実施か

マコネル上院院内総務(左)、トランプ大統領(右)|Evan Vucci / AP Photo

◆エッセンシャルワーカーの特別支給金はなし?
 今回の救済案で注目されていたのが、エッセンシャルワーカー(必需労働者)に対する特別支給金(危険手当)である。エッセンシャルワーカーの定義は州によって多少異なるが、ニューズウィーク誌(電子版)によると、一般的に医師、看護師、歯科医など医療従事者とその他の病院関係者、医療物資を供給する会社、ナーシングホームなど長期ケア施設、公安・司法関係者、食品・日用品を含む必需品を販売する店、医療、銀行、農業・漁業、郵便・配達、ホテル、葬儀社、石油や電気、ガスなどエネルギー産業従事者、教育関係者、インフラ従事者など、本当にきりがなく続く。

 フォーブス誌(電子版)によると、民主党が提案したヒーローズ・アクトでは、エッセンシャル・ワーカーのために2000憶ドル(約21兆円)の「ヒーローズ・ファンド」が用意されていたが、共和党のヒールズ・アクトではこの危険手当がついていない。

 ここでの問題は一概にエッセンシャルワーカーといえど、問題は在宅勤務が可能な人とそうでない人がいること、そして職種のなかで医療従事者や介護従事者のように、ほかと比べて格段に感染の可能性が高い職業に従事している人とそうではない人もいることである。そのような職種に同じ「危険手当」を支給するとなると、感染確率の高い職種に就いている人にとって不公平になる可能性もある。

 ヒールズ・アクトは7月29日現在まだ審議されておらず、今後上下院両議会で論議が行われる予定だが、7月31日で失業者への給付金が切れることから、8月初旬には内容が固まると思われる。今後この法案にどのような変更が加えられるのか、共和・民主両党の交渉に注目したい。

Text by 川島 実佳