コロナ治療、人工呼吸器より血液浄化器が必要か 中国新研究

Hannah A. Bullock, Azaibi Tamin / CDC via AP

 中国四川大学のLiu Wenzhong教授と宜賓学院のLi Hualan教授は10日、化学系プレプリントサーバー『ChemRxiv』に、新型コロナウイルスは「肺疾患ではなく、赤血球の疾患」を引き起こすと考えられる、という内容の研究を発表した

 これまで新型コロナウイルスが引き起こす感染症は、全世界で肺炎と同義のように捉えられてきた。しかし同研究は「新型コロナウイルスは、一連の細胞作用を通じて赤血球内のヘモグロビンを攻撃し、その結果として赤血球の酸素運搬を不可能にする」ことを明らかにした。つまり、呼吸機能が衰えるのではなく、「二酸化炭素と酸素の交換が減少するため、肺細胞は激しいダメージを受け炎症を起こすのである」。

◆説明できる事象の数々
 両教授は、「この論文は、学術的議論のために発表するものであり、その正しさについては、複数の研究機関で確認する必要がある」と書き添えているが、もしこれが事実であるならば、これまでに観察された事象のいくつかが説明できる。

 たとえば、ニューヨークの集中治療室で働くキャメロン医師は「人工呼吸器で十分な酸素を送ることができない。(中略)こんなことは初めてだ」と悲鳴を上げる(24デジタル、4/10)。いくら人工呼吸器で酸素を送り込んでも体内の赤血球が酸素を運搬しなければ効果が上がらないということだろう。

 また、同研究は「ウイルスは生き残るために多量のポルフィリンを必要とする」とする。また「人体中のポルフィリンは、ほとんどが鉄と結びついたヘムである。(中略)したがって、新コロナウイルスはヘモグロビン(訳注:ヘモグロビンは、ヘムとグロビンから成っている)を標的にし、ヘムを攻撃してポルフィリンを手に入れる」ことを明らかにした。この事実は、救急医の多くが指摘する、(Covid-19)患者にしばしばみられるフェリチン高値も説明できるものだ。というのも、「フェリチンは、通常余分な鉄分を保存する。もし大量の鉄分がヘムから駆逐され外に出てしまったのなら、より多くのフェリチンを生産することになる」からである(『タイメディカルニュース』4/9)。

Text by 冠ゆき