新型コロナウイルスは米中対立を激化させるか?
新型コロナウイルスの感染が欧米を襲っている。NHKが23日までにまとめた情報によると、世界の感染者数は、中国が8万1054人で依然としてトップだが、イタリアが5万9138人、スペインが2万8572人、イランが2万1638人、ドイツが1万8610人、フランスが1万6018人、アメリカが1万5219人などと続く。死亡者数は、イタリアが中国の3261人を上回る5476人に達し、 スペインが1720人、イランが1685人などとなっている。とくに、イタリアは死亡者数に加え致死率も中国を上回っており、きわめて深刻な状況となっている。
◆習近平政権のしたたかな行動
すでに、感染の猛威はアジアから欧米に移っている。感染源となった中国の武漢でもここ数日、新たな感染者は報告されていない。そのようななか、習近平政権はしたたかな行動に出ている。状況が落ち着きを見せ始めた直後、習近平氏は武漢を訪れ、市民たちにエールを送った。その姿は大々的に内外に報じられ、国営メディアなどは次々に習近平政権の封じ込め政策の成果を強調した。
また、イタリアなど感染が深刻な国々に大規模な救援部隊を派遣するなどし、「感染源国」から脱して「支援国」というイメージを広めようとしている。国内で流行が収まらないなか各国の支援に乗り出すと国内外からの反発が強くなる恐れがあるが、今回の一連の習政権の動きをみるに、タイミングを見計らった用意周到なものであることが感じられる。
一方、今回の新型コロナウイルスによって、すでに「中国パキスタン経済回廊」の事業などで大きな遅れが生じるなど、中国が進める一帯一路プロジェクトでは影響が出始めているという。習近平政権としては、イタリアなどの一帯一路の参加国に救援部隊を派遣することで、中国の影響力を引き続き確保したい政治的狙いがある。
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