新型コロナで中国の空気に変化 二酸化炭素、汚染物質が激減

Andy Wong / AP Photo

 新型コロナウイルスを抑え込むため、中国政府は人の移動を厳しく規制した。交通機関の利用は大幅に減り、労働者が出勤できなくなった工場では生産停止となり、経済活動に急ブレーキがかかった。その結果、大気汚染がひどかった中国の空に大きな変化が出ている。

◆青空が戻った? 二酸化炭素、窒素酸化物が大幅減
 中国は世界で最も温室効果ガスの排出量が多い国の一つだ。ところが、フィンランドの研究機関、Center for Research on Energy and Clean Air(CREA)が2月末に発表した研究では、過去3週間の間に中国の二酸化炭素排出量が1億トンも減少したと報告されている。昨年同時期と比べ、25%以上の減少だという。二酸化炭素だけでなく、自動車や発電所から出る亜酸化窒素も36%近く減少した。鉄鋼生産が過去5年で最低レベルに落ちたこと、国内線フライトが70%減となったことなども大きく影響したようだ(気象情報サイト『ウェザー・ネットワーク』)。

 NASA(アメリカ航空宇宙局)と欧州宇宙機関が公開した衛星画像にも、咳、喘息、呼吸困難といった呼吸器系の問題を引き起こすとされる二酸化窒素の減少が顕著に表れている。中国上空を捉えた今年1月1日から20日までの画像には、茶色と黄色のガスの帯が広がっていたが、2月10日から25日の画像ではほとんど消滅していた。NASAによれば、感染が始まった武漢上空が、いち早く変化を見せたという。ここまで劇的な改善が広いエリアで見られたのはこれが初めてだとNASAの研究者も驚いている(CNN)。

Text by 山川 真智子