「日本のハイジ」、お膝元スイスで特別展 45年経ても世界的に人気

Satomi Iwasawa

 スイスのアルプスを舞台にした児童文学『アルプスの少女ハイジ』は原作が生まれた地元スイスで根強い人気だ。実写でくり返し映画化され、ミュージカルも演じられている。日本でも上映された2015年の映画『ハイジ アルプスの物語』はスイスでも好評だった。

 ハイジといえば、日本のアニメ『アルプスの少女ハイジ』(1974年初放送)を忘れてはならない。世界中の国々で放送され、スイスでも知っている人は多く、好きな人も少なくない。スイス人の友人(40代)もその一人だ。小さいころに毎週見ていて「日本のアニメのハイジが、私にとってのハイジよ」と言う。その「日本のハイジ」の特別展が、2019年7月中旬から10月中旬まで、スイス国立博物館で開催されている。

◆開催の背景に「世界的なアニメ人気」
「日本のハイジ」がスイスで公式に取り上げられたのは今回が初めてだ。会場には主人公ハイジが大きく飾られ、笑顔で出迎えてくれる。制作スタッフのうちの4人(高畑勲氏、小田部羊一氏、宮崎駿氏、中島順三氏)が、スイスで約10日間ロケハンした写真がずらりと並べられ、スケッチ、セル画などに説明が添えられ、このアニメ作品が入念な準備のもと、非常に丁寧に作られた様子がよくわかる。

Satomi Iwasawa

 隣接のオーディオルームでは、「日本のハイジ」が見られるようになっている。大きなスクリーンに映し出されて、訪問者はハイジのアルプスの世界へと誘われる。

 筆者も多くの日本人と同じように「日本のハイジ」は好きで、今回のハイジ展は嬉しい。ただ、なぜいま開催なのだろうか。放映45年周年にちなんで日本でハイジ展が開かれたが、国立博物館の説明にもスイスの報道にも、45周年ということは書かれていない。

 同館に聞いてみたところ、「アニメが世界的に人気を博していることにインスピレーションを得て、本展を企画しました。初放映から45周年は、あまり意識していませんでした。展覧会の企画には、いつも時間を要します。ハイジ展はチューリヒ大学との共同で、2015年から一緒に準備を進めてきました」という回答だった。

Text by 岩澤 里美