自閉症の6歳男児、行方不明44時間後に発見 「馬」が救出のカギに 米国

ケンタッキー州の森林(事件現場とは異なる)|Zack Frank / Shutterstock.com

アメリカ・ケンタッキー州で、自閉症のある6歳の男児が行方不明となり、約44時間後に山林で無事発見された。雨や寒さに見舞われた山中で2晩を過ごした男児を見つけたのは、馬に乗って捜索していたボランティアたちだった。救出の直前には、思いがけない出来事もあったという。

地元紙マウンテン・シチズンなどによると、6歳のローマン・ハイルマン君は11月1日午後、ケンタッキー州ルイーザ近郊の自宅から姿を消した。

ローマン君には自閉症があり、言葉による意思疎通が難しい。ケンタッキー州警察が行方不明者の警報を出し、警察や消防、救助隊に加え、数百人のボランティアが捜索に参加した。

周辺には険しい斜面や深い藪が広がり、捜索は難航した。2日には男児の上着とズボンが発見され、寒さの中での安否が懸念されていた。

捜索隊は、男児が大きな物音や急な動きに驚いて隠れてしまう可能性を考慮した。また、ローマン君が童謡『幸せなら手をたたこう』に反応することから、捜索する人々にはこの歌を歌い、手をたたきながら探すよう呼びかけられた。

ケンタッキー州警察は11月3日、公式Xでローマン君が無事発見されたことを発表した。投稿には、捜索時に公開されていた男児の写真も表示されている。


◆山中で見つかった意外な手がかり
発見につながったのは、馬に乗ったボランティアたちの捜索だった。

地元テレビ局WYMTによると、11月3日午前、馬に乗った捜索隊は、車両では入りにくい山林を調べていた。

その途中、地面に落ちていたキャンディーの包み紙に気づき、その方向へ進んだ。

すると、小さな犬が姿を現した。続いて、ローマン君も茂みの中から出てきたという。

地元紙レキシントン・ヘラルド・リーダーの取材に対し、捜索に参加したジェイコブ・マリンズさんは、男児を発見したのは自宅から約2.4キロ離れた場所だったと説明している。

ローマン君は「イーアイイーアイオー、馬さん」と声を発しながら、茂みから馬の通る道に出てきたという。別の捜索参加者によると、男児は馬に乗ったボランティアに駆け寄り、その首にしがみついた。

発見時、男児は衣服を身につけておらず、体には擦り傷やあざがあった。捜索隊は男児にバナナと水を与え、上着で体を包み、馬に乗せて山を下りた。

ローマン君には脱水症状が見られたものの、骨折などの大きなけがはなく、医療スタッフによる診察を受けた。

なお、発見時に現れた小さな犬については、行方不明だった約44時間の間、男児と一緒に過ごしていた可能性があるものの、詳しい経緯は分かっていない。

ローレンス郡の緊急管理当局の責任者、トラビス・ヒューズ氏は、地元テレビ局の取材に対し、今回の救出を「奇跡としか言いようがない」と振り返った。捜索に協力した地域の人々に感謝を述べるとともに、男児が元気に過ごしていると聞いていると明かした。

Text by 白石千尋