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ロシアがイルカの軍事利用を再開か 米軍はアシカも研究・訓練 利用される動物たち

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ロシアがイルカの軍事利用を再開か 米軍はアシカも研究・訓練 利用される動物たち

 ロシア軍が、イルカ5頭を175万ルーブル(約280万円)で購入する方針であることが明らかになった。8月1日までにクリミア半島の港湾都市セバストポリにある軍施設に納品を希望しているという。人間とイルカの関わりというと、水族館でのイルカ・ショーのような娯楽やドルフィン・スイムといった癒しの場面が思い浮かぶ。しかし冷戦時代には、アメリカとソビエト連邦(現ロシア連邦)は競うようにイルカを軍事利用していたようだ。

◆クリミア編入でイルカ軍事利用復活?
 3月9日付のガーディアン紙によると、ソ連とアメリカは冷戦当時、海中で潜水艦や機雷を探知したり、港や軍艦周辺で怪しい物体や人物を発見したりすることに、イルカを活用していた。ソ連当時のイルカ軍事訓練に詳しいヴィクトル・バラネツ退役大佐が同紙に明かした話によると、ソ連は1960年代に、アメリカ軍がイルカの活用で成果を上げていることを知り、導入を検討するようになったという。その後、敵艦に爆発物を仕掛けたり、黒海で魚雷や沈没船を見つけたりといった場面で、イルカが活用された。1965年、クリミアにイルカの軍事訓練施設が作られたが、冷戦が終結して施設は放置され、イルカはイランに売却されたという。2012年、当時クリミアが属していたウクライナがこの施設の再建を行ったが、2014年3月にクリミアがロシアに編入されたため、施設はロシアに戻ってきたのだった。

 ガーディアン紙はまた、クリミアがロシアに戻ってきた2014年3月に消息筋がロシア国営通信社に明かした話として、イルカの軍事訓練プログラムが当時、ロシアで新たに計画中だったという話を紹介している。

 つまり、冷戦後に手放したイルカの訓練施設が2014年に戻ってきたことを受けて、ロシアはイルカの軍事利用を再開することにし、このほど実際にイルカ購入に向けて動き始めたということだろうか。ロシア軍は、今回購入するイルカの使用目的等、詳細を明らかにしていない。

◆どんな機械も凌ぐイルカの能力
 アメリカ軍での海洋哺乳類の軍事利用はどうだろうか。アメリカのサンディエゴにある宇宙海戦システム司令部(SPAWAR: Space and Naval Warfare Systems Command)は公式ウェブサイトで、1950年代にイルカの流体力学などの研究を始めたとしている。SPAWARは現在、海軍海洋哺乳類プログラムでイルカやアシカなどを訓練している。

 ビジネス・インサイダーが昨年3月12日付で掲載した記事によると、海軍海洋哺乳類プログラムは1960年、ノッティと名付けられたメスのカマイルカの研究から始まった。研究の目的は、イルカの生体力学を解明して魚雷の設計に役立てることだったのだが、研究していくうちにイルカそのものが戦力になることに気づいたという。同記事によると、海洋哺乳類は知能が高く、調教できる上に、水中での移動速度や反響定位能力はいかなる人工的機械を凌ぐため、軍事資産として非常に魅力だという。

 サンディエゴ・ユニオン・トリビューン紙が2012年11月24日に報じた話によると、SPAWARは、軍用イルカの作業をすべて水中無人機に引き継がせ、将来的にはイルカの軍事利用をやめる計画をしていた。しかし結局、アシカやイルカの能力を上回る無人機がないため、軍事利用を続けることにしたという。この記事の時点でSPAWARにはイルカが24頭いたが、前述のビジネス・インサイダーの記事ではSPAWARが訓練しているイルカは85頭、アシカは50頭となっており、規模は拡大したようだ。

◆米海軍は「人殺しイルカ」の存在を否定
 イルカの軍事利用というと、イルカが戦闘に参加して人を襲っているようなイメージを抱くかもしれない。SPAWARのウェブサイトによると、1973年の映画『イルカの日』などの影響もあり、米海軍が人を攻撃するようイルカを調教しているという誤解が根強くあるらしい。また元ネイビーシールズ(米海軍の特殊部隊)のブランドン・ウェブ氏は、ネイビーシールズ時代の回想録であるベストセラー本『The Red Circle』の中で、イルカが人を襲う方法を事細かに記述しており、こうしたことも誤解の一因になっているようだ。

 しかしSPAWARは、人を襲うようにイルカを訓練したり、船舶を攻撃する武器をイルカに取りつけたりしたことはこれまで一度もないとして、人殺しイルカの存在を強く否定している。イルカには敵や味方の区別をつける能力がないというのが、イルカをそのように訓練していない理由だという。

◆軍事利用される動物たち
 ところでイルカの他にも、世界ではさまざまな動物が軍事利用されてきた。ヒストリーチャンネルの公式ウェブサイトによると、例えば中国では南宋の時代(1127~1279年)初期に、猿に火をつけて敵の陣地に放して火事にするという戦術が使われていた。また、冷戦時代にアメリカの中央情報局(CIA)が「Operation Kitty」(子猫作戦)として、盗聴器を埋め込んだ猫を使ってソ連軍の盗聴を試みようとしたことがあった。しかし最初の作戦で猫が車にひかれてしまい、作戦は中止になったという。

 軍事利用ではないが、最近ではドローン対策として、オランダの警察当局がワシを訓練している。テロや犯罪に使用されている疑いのあるドローンを、ワシを使って確保するのだ。ロイター(2月2日付)によると、オランダの警察当局は「ハイテクな問題へのローテクな解決法」と説明しているという。

(松丸さとみ)

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