日韓局長級協議が再開 関係改善の糸口見えた? 平行線? 日韓報道に温度差

 東京都の舛添要一知事は23日から、韓国の首都ソウルを2泊3日の日程で訪問している。また同日、同じくソウル市内で日本外務省の伊原純一アジア大洋州局長と韓国外交部の李相徳(イ・サンドク)東北アジア局長が慰安婦問題などについて話し合う第3回日韓局長級協議を行った。

 10日に発表された日本の非営利団体「言論NPO」と韓国の民間シンクタンクの「東アジア研究院(EAI)」による共同世論調査では、日韓関係の現状について「望ましくない状況であり、心配している」あるいはこの状況を「問題であり、改善する必要がある」という回答が、日本は61.2%、韓国は69.7%であった。

 日本と韓国の関係改善の動き、また同時にその逆の動きを海外各紙が報じている。

【都市間交流から日韓関係改善の突破口を】
 2月に着任して以来、舛添氏は東京と北京・ソウルの結びつきを強めることで、日本と両国の関係を改善する役割を果たすと約束してきた、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は報じている。同氏は、「日中関係、日韓関係ともに緊張が続いている。今回の交流がたとえ僅かであっても、関係を改善してくれることに繋がればと期待している」と述べた。また、韓国の政府高官と会い、安倍晋三首相の関係改善の意向を説明したいとしている。

 東京とソウルは姉妹都市だ。東京都知事がソウルを訪問するのは、1996年以来初めてのこと。その間の大半の12年間都知事の座にいたのは、石原慎太郎氏だった。国家主義的発言と挑発的な姿勢は、しばしば中韓の怒りを買った。

 舛添氏は23日、約300人が死亡したフェリー事故の犠牲者を祀った祭壇に献花した後、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長と会談した。

【関係改善の兆しか?平行線が続くのか?】
 舛添氏が韓国を訪れたのは、日韓の外交官が従軍慰安婦問題について話し合いを持った日と同日であった。日本政府による、1993年の河野談話を検証するとの最近の発表は、韓国の非難を招いた。この問題について日韓の議論は全く進展していない。しかし、話し合いが始まったことは、両国が問題解決を望んでいる証でもある、とウォール・ストリート・ジャーナル紙は今後に期待している。

 英ガーディアン紙は、河野談話検証によって得られた、謝罪は政治的妥協の産物で日本の従軍慰安婦に関する事実を正確に反映したものではない、との日本政府の結論を報じている。

 菅義偉官房長官は23日、検証結果に韓国側が反発したことについて「極めて残念だ。韓国政府も今回の検討結果を冷静に見てほしい」と表明した。日本側は、新たな打開策を提示する考えのないことを明らかにしている(産経新聞)。

 産経新聞は、日韓局長級協議が開かれたことで、関係改善への糸口は見えてきたとする日本側の見方を報じている。一方、朝鮮日報は、日本はこれまでの主張を繰り返すばかりで歩み寄る姿勢がみられないと報じている。

【集会は政治目的で迷惑】
 群馬県は、県立公園「群馬の森」に10年前に建てられた朝鮮人追悼碑を撤去する方針を決めた。牌は、戦時中、日本に動員・徴用された朝鮮人たちを哀悼するものだ。碑文には、日本語とハングルで「私たちは、かつてわが国が朝鮮人に対し、多大の損害と苦痛を与えた歴史の事実を深く記憶にとどめ、心から反省し、二度と過ちを繰り返さない決意を表明する」と刻まれている。

 群馬県の大沢正明知事は、「追悼碑の設置団体が集会を開き、政治的な発言をした結果、追悼碑の存在自体が論争の的になり、県民による公園の健全な利用ができなくなるなど、休息の場にふさわしくない状況となっている」(朝鮮日報)と撤去命令の理由を述べた。団体が自主的撤去に応じなければ、10年間の設置許可更新を拒否するとしている。

 追悼碑を設置した市民団体「追悼碑を守る会」は、「(牌のある公園で開かれる)集会は追悼目的で、牌を撤去するとした県の決定は、(集会を行う)団体を中傷するに等しい」「集会が政治的動機によると結論したことも、身勝手な判断だ」と述べ、不合理な決定だと非難している(ガーディアン)。

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Text by NewSphere 編集部