伝統銘菓「もみじの天ぷら」が海外で話題に “日本人は理解し難いものを食べる…”

 関西を中心に名物お菓子として定着している、大阪の箕面市発祥の「もみじの天ぷら」をご存知だろうか。

 1300年程前に箕面山に入った修行者が滝に映えたもみじの美しさに感銘を受け、その天ぷらを作り修験道場を訪れる旅人に提供していたことに端を発し、今では地元の伝統銘菓として人気のお土産になっている。

 このお菓子が最近「日本人の奇妙な食文化を見つけたぞ!」と言わんばかりに海外メディアで話題となっている。

◆正しいレシピ
 もみじの天ぷらを試してみたければ、近所でもみじの葉っぱを拾ってきて揚げればいいし、メイプルシロップをひと塗りするなどの工夫もイケるかもしれないと一部のメディアでは紹介されているが、実際には専用の食用もみじから作られている。

 また、一部では「落ち葉」とされているが、正確には食用もみじが色づき紅葉真っ盛りの頃に収穫するのが一般的だ。水洗いした後1年以上塩漬けにしてから、厳選された小麦粉、砂糖、ゴマを混ぜあわせた衣を付けて揚げる。きれいな葉の形を保ちながら、かりんとうのように甘くカリッとした香ばしい食感が自慢だという。

 海外では馴染みがない食材なのかもしれないが、間違えても一部の報道を鵜呑みにし、地面に落ちているもみじを拾って調理することはやめてほしいものだ。

◆自然を愛でるお菓子
 特に欧米では奇妙な日本食の一つとして捉えられているようだが、読者の反応としては「アジア人は紅葉を楽しむためにわざわざカナダまで旅行する人がいるらしい」という反応もあり、もみじの天ぷらの背景にある自然を愛でる感覚に共感し、自分たちももっと身近に感じられる季節の移り変わりを見直すべきだとの声もある。

 また、もみじの天ぷらの歴史が長いことからも、現在までに作り方は繰り返し研究されてきているはずで、欧米人にとっての秋の味覚であるカボチャを使用した「パンプキン・ラテ」よりもずっと洗練されているだろうという肯定的な意見もあった。

 さらに、「イルカや鯨、タコなどを食べるよりずっといい」という意見も多かった。彼らにとって食材として受け入れられないものに比べたらましということのようだ。日本人は理解し難いものを食べることがあるが、それでも世界的に最も健康で長生きなのはなぜだろう、と頭を傾げる様子が伺えるコメントも見られた。

◆理解されない日本の食文化
 読者からの反応で多かったのが、果たしてこのお菓子に栄養はあるのか!?ということだ。中には「人間は植物の繊維セルロースを分解できないのだから、これは天ぷらの衣を食べているようなものだ」と指摘する声も。

 また、一部では枯葉とも言える落ち葉を食べると報じられていたことから「有毒ではないのか?」と疑う投稿も寄せられていた。毒性のあるふぐさえも食する日本人だけに、それと同じ感覚で落ち葉も食べているのではないか…と日本人の感覚を不思議がっているようだ。

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Text by NewSphere 編集部