“東電任せにしない”安倍首相の意志の表れか IAEAの福島原発視察

 25日、国際原子力機関(IAEA)の調査団19名が、福島第一原発の廃炉作業検証のため、来日した。今回の調査は、4月に続き2回目となる。

 ファン・カルロス・レンティッホ調査団長は会見で、特に放射能汚染水問題と4号機の核燃料取り出しに注目していることを語った。調査団は27日から施設を視察し、12月4日には4号機の核燃料取り出し作業に立ち会い、安全性を検証。廃炉作業の課題や提言を報告書にまとめ、日本政府に提出する。

【国際社会の警戒を喚起、2011年3月から流出していた汚染水】
 バンコク・ポストは、東日本大震災直後からの放射能漏れの経緯を伝えている。2011年3月の震災から1ヶ月以内に、放射能汚染水は2号機付近の海に流れ込んでいるのが確認された。4月には、地下貯蔵タンクからの汚染水漏れが発覚、7月には汚染水を含む300トンの地下水が毎日近海に流れ込んでいるのが確認された。8月には地上貯水タンクからも300トンの汚染水が漏れているのが発見されている。

 汚染水漏れの発覚は、国際社会の警戒を呼び起こしたと各紙は指摘している。調査団は、何百トンもの汚染水を貯蔵するプールに関しても視察するとロイターは伝えている。

【IAEAが立ち会い予定の燃料棒取り出し作業開始の背景は?】
 今回のIAEAの調査受け入れは、安倍首相の「東電に任せっきりにはしないが、先頭に立ち問題解決に取り組む」という意志の現れだとバンコク・ポストは伝えている。

 実際9月には、政府が除染作業経過への監督に言及し、水管理は改良されたとロイターは報じた。その後東電は、燃料棒の除去作業を開始した。IAEAが立ち会う予定の燃料取り出しは、30〜40年はかかると言われている廃炉作業の第一段階となることを各紙は報じている。

【タイ紙「除染作業には国際的援助が必要」】
 今回のIAEA調査団来日の報道に伴い、バンコク・ポストは、東電がこの複雑かつ危険な作業を完了させるには国際的援助を追求すべきという見解を示した。IAEAだけでなく、世界中の科学者・技術者の力と、資金を結集して取り組むべきという、反原発活動家の意見も紹介している。

Text by NewSphere 編集部