「世界の都市総合力」東京3位 成長と後退の分野が明確に 大阪、福岡は?

Sean Pavone / Shutterstock.com

◆各分野でバランスの取れた強み
 東京の総合スコアは1375.8点で、1位ロンドンとは約270点差、2位ニューヨークとは約130点差がついている。一方、振り返ればわずか約12点差で、4位パリが迫る。東京は、「居住」分野を構成する指標グループのうち、「居住コスト」が大きく改善したことで順位を維持した。昨年の11位から順位を一気に8つ上げている。居住コストは具体的な指標として、「住宅賃料水準の低さ」「物価水準の低さ」から判断される。欧米で物価高が進んだことや、円安で相対的に物価水準が下がったことで暮らしやすさの評価を上げた。

 課題もある。都市戦略研究所は報告書で、「(東京は)経済分野では10位に落ちるなど、成長と後退が分野によって明確に分かれた」と指摘する。「経済」分野で総合1位のロンドンは2位、総合2位のニューヨークは1位と、いずれも上位を確保しているのに対し、東京は10位に位置づけられた。東京の「GDP成長率」は引き続き弱いほか、従来強みであった「ワークプレイス充実度」「世界トップ500企業」の指標もスコアを落とした結果、「経済」分野全体では昨年から順位を5つ落とした。

 依然として、評価対象48都市のなかで10位は上位圏であり、9位のアメリカ首都ワシントンに次ぐ位置は決して悪くない。だが、物価の安さで総合スコアを上げ、経済分野では後退という動きが今後も続くようであれば、経済の弱体化を意味する危険信号となり得る。

次のページ 大阪・福岡、競争力の視点では奮わず

Text by 青葉やまと