なぜ韓国の兵器は世界から注目されるのか ウクライナへ供与の可能性も

Flying Camera / Shutterstock.com

 韓国大統領室の張虎鎮(チャン・ホジン)国家安保室長は23日、KBSの番組に主演し、ウクライナへの兵器支援の可能性を改めて検討すると取れる発言を行った。韓国の武器輸出能力についてはアメリカメディアも、即納性、品質、コスト面で利があると評価している。

◆「ロシア次第では、我々に制約はない」
 韓国の聯合ニュース(6月23日)によると、張氏は番組で、「ロシアが高度な精密武器を北朝鮮に提供すれば、われわれにこれ以上どんなライン(制約)があるのか」と述べた。この数日前の20日、ロシアのプーチン大統領はベトナム・ハノイでの記者会見で、北朝鮮に先進兵器を供与する可能性に言及している。張氏の発言は、これを受けたものとみられる。ただし、張氏は具体的な兵器の種類について明言を避け、ロシアの出方次第だと強調した。

◆高い即納性…契約から4ヶ月で引き渡し
 ひとたび韓国が供与を決定すれば、素早く実行へ移されそうだ。韓国兵器に関しては、即納性に定評がある。米ウォー・ゾーン誌(6月20日)は、ポーランドと韓国が2022年に兵器調達契約を交わした事例を取り上げ、「このパッケージの驚くべき点は、実現までのスピードだ」と語る。初回分として10台のK2戦車と24台のK9自走砲が、契約締結からわずか4ヶ月でポーランドの港に到着した。FA-50軽戦闘機の最初の1機も、契約締結から10ヶ月以内にポーランドに引き渡された。

 米ディプロマット誌によると、ポーランドとの契約は147億ドル(約2兆3000億円)規模であった。同誌は、韓国の防衛産業が半導体やエンジンなどの部品供給に至るまで強固なサプライチェーンを構築しており、これが迅速な納品を可能にしていると指摘する。

◆高品質・低コストに定評
 さらに、韓国の武器は品質面でも高い評価を受けている。K-239 チョンム多連装ロケットシステムは、アメリカの高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」に匹敵する性能を持つとされる。ディプロマット誌は、KF-Xプログラムの下で第4.5世代の多用途戦闘機も開発中であり、これも国際市場での競争力を高めていると指摘する。韓国の防衛産業は、最新の技術と高度な品質管理を取り入れており、これが高い評価を受ける要因となっている模様だ。

 加えて、韓国の兵器は、他国製品に比べて非常にコスト効率が高い。たとえば、ポーランドが韓国から購入したK2戦車やK9自走砲は、ほかの西側諸国の製品と同等の品質ながら、非常に安価だ。ウォー・ゾーン誌は、高品質・低価格を実現したことで、ポーランドをはじめとする多くの国に選ばれていると述べている。

 具体的には、ディプロマット誌によると、フランスのCAESAR自走砲が約750万ドル、ドイツのPzH 2000が1000万ドル以上するのに対し、韓国のK9サンダーは400万ドル以下で提供されている。

 このように韓国の武器輸出能力は、国際社会で高い評価を築いてきた。ウクライナへの輸出をほのめかす張氏の発言は、牽制(けんせい)にとどまるだろうか。ロシアの北朝鮮に対する動向次第では、韓国がウクライナに武器供与する可能性もあるだろう。

Text by 青葉やまと