「世界の工場」でなくなる中国
だが、それによって中国側の日本への不満が膨れ上がることとなった。中国はその後、希少金属ガリウムとゲルマニウムの輸出規制を強化するだけでなく、日本産水産物の全面輸入停止という行動に打って出た。前者の規制は対象国を特定するものではなかったが、後者は明らかに日本を特定した措置であり、日本側としては経済的な威圧と受け止めざるを得ない。こういった経済的威圧が、外国企業の投資意欲を損ねていることは間違いない。
◆第2次トランプ政権で拍車がかかるか
そして、これは第2次トランプ政権の発足でさらに拍車がかかることだろう。トランプ氏が大統領に返り咲けば、中国との間で貿易摩擦が再び拡大することは避けられず、減速する中国経済にとってはさらなる痛手となる。サプライチェーンがグローバルに毛細血管のようにつながる今日、中国経済との完全なデカップリングはあり得ないが、その度合いはトランプ返り咲きでさらに高まり、世界の工場としての中国は終わりを迎えることになるだろう。
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