孤立の道を突き進むイスラエル

イスラエルのネタニヤフ首相|Abir Sultan / Pool Photo via AP

◆大きな課題となるイスラエル企業との関係
 そして、今日の戦闘は企業活動にも影響を及ぼし始めている。たとえば、伊藤忠商事の子会社である伊藤忠アビエーションが2月に入り、イスラエルの軍事企業エルビット・システムズと結んでいた協力関係の「覚書」を2月中をめどに終了すると明らかにした。伊藤忠アビエーションは防衛装備品の供給などを担い、昨年3月に自衛隊の防衛装備品を輸入する目的でエルビット・システムズと協力関係の覚書を交わした。この背景には、パレスチナ側への攻撃を続け、世界的にイスラエルへの批判が強まるなか、イスラエル企業と協力関係を継続することで自社のブランドやイメージが悪化することへの懸念があったはずだ。

 このように今日のイスラエルの行動は、外国企業とイスラエル企業との関係にも悪影響を及ぼし始めており、今後さらに脱イスラエルの動きが広がる可能性がある。イスラエルは中東のシリコンバレーとも呼ばれ、近年外国企業から注目を集めているが、現在の戦闘はイスラエル経済にとって大きなマイナスである。イスラエルはそれを犠牲にしているのだが、ネタニヤフ政権はますます孤立の道を突き進んでいるように映る。

Text by 本田英寿