多くの国が加盟に関心、なぜBRICSが注目を集めているのか

BRICSの首脳ら(南アフリカ・ヨハネスブルグ、8月23日)|Gianluigi Guercia / Pool via AP

◆具体的な取り組みを示せるかが課題
 今回の会議には、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を除く、4ヶ国の首脳がヨハネスブルグの会議に参加。プーチン大統領にはウクライナ侵攻をめぐる戦争犯罪容疑で国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ているため、プーチンが南アフリカに入国した場合、南アフリカはICCからプーチンの身柄を引き渡すよう要請されていた。結局、BRICS会議においてはプーチン大統領の代理としてセルゲイ・ラブロフ外相が出席し、プーチンはオンラインで参加ということになった。南アフリカは冷戦時代のような北半球の覇権争いに対して中立を保ちたいという意思を示していた背景があるが、西側との関係は保ちつつ、BRICSとしての連携も強化していきたいというジレンマを抱えていた。

 今回のBRICS会議のテーマには、「BRICSとアフリカ:相互協力による成長、持続可能な開発、包括的な多国間主義のためのパートナーシップ」が掲げられていた。議長国である南アフリカによると、アルジェリア、エジプト、エチオピア、コンゴ民主共和国、ガボンなどのアフリカ諸国を含む40ヶ国以上が、BRICS加盟に関心を示している。アフリカ、中東、南米各国は、アメリカから距離を置くとともに、新たな国際的パートナーを獲得したい狙いがあるようだ。

 アフリカ諸国は、すでに中国やロシアとの強い繋がりを持っている。アフリカ諸国にとって、中国はアメリカよりもはるかに重要な貿易相手である。2022年、アフリカ諸国からアメリカへの輸出は431億ドル、輸入は306億ドルだったのに対して、中国への輸出は1175億ドル、輸入は1641億ドルであった。中国はアフリカ諸国にとって、欧州経済圏に次ぐ貿易相手となった。一方、ロシアに関しては、貿易ではなく、ソ連時代からの繋がりを利用して国防パートナーとしてアフリカ諸国と連携してきた。

 いずれにしてもアフリカ諸国にとって、アメリカかBRICS(中国・ロシア)かというような、単なる覇権争いに巻き込まれることに対しては懸念の声もある。アフリカ連合(AU)で議論が進められている、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)を進展させ、大陸内での連携を強めることも重要だ。AfCFTAについては、今回のBRICS会議の議題の一つにも含まれている。BRICS加盟国の拡大、BRICSとアフリカ諸国の連携というものが、覇権的な象徴ではなく具体的な経済の活性化につながるかどうかが、引き続き課題となりそうだ。

Text by MAKI NAKATA