大国間競争の陰で育つテロの芽 アフガンで不気味な兆候

昼食をとるタリバン戦闘員(6月22日)|Rodrigo Abd / AP Photo

◆イスラム過激派が20あまり存在するアフガニスタン
 そして、最新のブリーフィングレポートは、アルカイダだけでなく、東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)の残党勢力、パキスタン・タリバン、イスラミックジハードグループ、東トルキスタン・イスラム運動、イスラム国ホラサン州など、今日アフガニスタンには20あまりのイスラム過激派が存在すると言及した。特に、そのなかでもイスラム国ホラサン州の活動が最も活発で、近年はパキスタンやロシア、中国の権益を狙ったテロも繰り返し、特に中国権益を狙う強い意思を発信している。

 ブリーフィングレポートによると、昨年からイスラム国ホラサン州は国内で190以上もの自爆テロを行い、1300人以上が死傷したとされる。タリバンの元メンバーも多く流入し、アフガニスタン各地でネットワークを構築するだけでなく、ウズベキスタン領土に向けて複数のロケットを発射するなど、国際社会の目がアフガニスタンに集まらないなか、国外テロに拍車をかけることが懸念される。米中央軍司令官なども以前から同様の指摘をしており、今後、「国際的には差し迫っていない」脅威が「差し迫った」脅威に変化していくことが懸念される。

Text by 本田英寿