ロシア勢力圏に逆戻りするジョージア 国民はEU入り希望も

ジョージアのガリバシビリ首相(2022年9月)|Alexandros Michailidis / Shutterstock.com

 ジョージアは、東欧と西アジアの交差点に位置する国だ。近年ティムラズ・レジャバ駐日大使の日本語によるツイートで、日本でも親近感がぐっと高まっている。旧ソ連の構成国だが、早期に民主主義に移行し、近年は欧州連合(EU)への加盟を目指している。もっとも、ロシア寄りのオリガルヒに近い与党のもとでは、民主主義の後退も懸念されており、EUもその扱いに頭を悩ませている。

◆昨年は候補国入り見送り 今年も厳しい評価か?
 ジョージアは昨年ウクライナ、モルドバとともにEU加盟候補国入りを目指したが、条件を満たせていないという理由で、候補国入りを果たせなかった。その後の改善の取り組みだが、リークされた欧州委員会の報告書によれば、候補国としての地位を獲得するためにEUが勧告した12項目のうち、3項目しか満たされていなかったという(ビジネスニュースサイト『インテリ・ニュース』)。

 ガリバシビリ首相は、12の勧告のうち11を達成したと主張しているが、報告書では、メディア多元主義の点では進展なしとされ、政治的無極化の必要性、司法改革の重要性、脱オリガルヒ化、メディアの自由の保護などが強調されていたという。

 さらに、これまで停止していたロシアの航空会社の直行便と、自国の航空会社のモスクワ行きの便を再開する決定を現政権が下したこと、投獄された大統領経験者に虐待や拷問を行っていたことなどについて、EU側は外交文書で懸念を表明している(ウェブニュース『Voxeurop』)。

Text by 山川 真智子