アメリカは日韓関係改善をどう見るのか
◆実は最も安堵したのはアメリカ
一方、こういった動きを最も歓迎しているのは、両国と同盟関係にあるアメリカだろう。21世紀以降中国の台頭が顕著になり、それに警戒心を強めていったアメリカは長年同盟国同士の複雑な関係に頭を悩ませてきた。アメリカが抱いてきた本音は、「中国や北朝鮮という脅威に直面するなか、日本と韓国は争っている場合ではない。目の前にある安全保障環境の現実を直視せよ」である。
11年前の2012年 8月、米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は、ジョセフ・ナイとリチャード・アーミテージ両氏によって執筆された報告書「The U.S. -Japan Alliance: ANCHORING STABILITY IN ASIA」を発表し、その中で日韓への想いが記されている。両氏は米日韓の 3ヶ国間パートナーシップの重要性に言及し、3ヶ国は民主主義の価値観を共有し、その連帯は地域の安全と平和にとって不可欠な要素であり、軍事・安全保障分野の協力にとどまらず、原子力エネルギーや政府開発援助(ODA)など異なる分野を組み合わせた重層的な立場から協力を推進させることが重要とした。一方、それを実現するにあたり、日韓の歴史問題が大きな障害になっており、中国の台頭や北朝鮮の動向など不透明な脅威に直面している極東アジアのリアルポリティクスを考慮し、日韓両国は現実的な側面から行動するべきであり、歴史問題によって両国の安全保障、政治、経済などにおける協力が妨げられてはならないとした。
今後、日韓関係は大きく雪解けに向かうと思われる。しかし、それに最も安堵しているのは日本でも韓国でもなく、中国との戦略的競争を繰り広げるバイデン政権かもしれない。
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