有害コンテンツを「おすすめ」するSNSの責任は? 米最高裁がグーグル訴訟を審理

グーグルを提訴しているノエミ・ゴンザレスさんの遺族(2月21日)|Alex Brandon / AP Photo

 アメリカの「ゴンザレス対グーグル」訴訟で、ユーチューブ上で拡散されたテロ組織の有害な動画に関して、グーグル社の責任が問われている。これまで通信品位法第230条(Section 230)によってインターネット企業の免責が担保されてきたが、今後はどうなるか。

◆「ゴンザレス対グーグル訴訟」とは
 ゴンザレス対グーグル(Gonzalez v. Google LLC)は、現在米連邦最高裁で審理されている訴訟。2015年に発生したパリ同時多発テロで、当時アメリカから留学していて被害者となったノエミ・ゴンザレス(Nohemi Gonzalez)の家族が、イスラム国(IS)の勧誘ビデオ動画を拡散させたユーチューブにもテロ発生と犠牲者をもたらした責任があるとし、親会社のグーグルに対して訴訟を起こしている。ユーチューブの、ユーザーに対して「おすすめ動画」を提案するという仕組みに関しては、ある意味、ユーチューブ自身が発信しているものであり、同社に責任があるというのがゴンザレス側の主張だ。

 議題の概要は、インターネットプラットフォームの提供者が、ユーザー発信のコンテンツをキュレーションして提案した場合において、アメリカの通信品位法(Communications Decency Act)第230条(通称:セクション230、1996年電気通信法の第509条)において免責されるかどうかというものだ。セクション230は、インターネットが普及し始めた90年代、ポルノグラフィーなど、特に子供にとって不適切なコンテンツの自主規制を促す目的で提案された法案で、この法案によって、インターネット上のプラットフォームは、出版社や表現者として扱われることなく、コンテンツの内容および措置に関しての民事責任から免れてきた(詳細は過去記事参照)。

Text by MAKI NAKATA