安全保障だけではない 脅かされる日本の「経済安保」
◆進む米中間での部分的デカップリング
バイデン大統領も習国家主席も最近の会談で軍事衝突を回避し、対話のオプションを常に残すことで一致しているが、アメリカは半導体など重要品目についてはデカップリングを進めている。バイデン政権は半導体や人工知能(AI)、スーパーコンピューターなどの重要品目や最先端技術の分野において、国内での生産・開発に回帰するリショアリングと、サプライチェーンを開発・強化する際に同盟国や友好国と結束するフレンドショアリングを強化している。反対に、中国は一帯一路の拡大や親中国(ロシアやイラン、ミャンマーなど)との関係を強化し、反欧米的な経済サプライチェーンを強化しようとしており、米中間で自らを軸とするネットワーク固めが進んでいる。
◆脅かされる日本の経済安全保障
これは、経済を中国に最も依存し、アメリカにとって対中国の最前線に位置する日本にとっては難しい立場となる。中国に経済を大きく依存する国は多いが、米中対立の最前線という用件が加わる国は少なく、もしかすると日本が2つの要件に最も当てはまるかもしれない。
日本がその狭間に陥り、もしくは経済安保でも対米協調を強調すれば、中国は日米の経済カップリングを切り離すため、日本がどうしても必要とする中国産原材料の輸出制限や輸出品価格の引き上げなどによって、日本に対して経済的揺さぶりをかけてくる可能性がある。そういったリスクを考慮すれば、日本独自でリショアリング、フレンドショアリングを率先して考えていくべきだろう。
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