クロアチアが23年からシェンゲン圏に ブルガリアとルーマニアはなぜ見送り?

クロアチア・ブレガナの国境検問所(12月8日)|AP Photo

 欧州連合(EU)は8日、クロアチアが来年1月1日からシェンゲン協定に加わることを承認した。一方、ブルガリアとルーマニアに関してはまたしても見送られた。シェンゲン圏に入るには、EU加盟国すべての賛成が必要となる。反対したのはどの国で、その理由とは?

◆シェンゲン圏とは?
 シェンゲン圏とは、シェンゲン協定が適応されるヨーロッパの領域のことだ。ルクセンブルクのシェンゲン市において1985年に最初に署名されたため、この名がついている。シェンゲン圏内においては出入国審査は行われないため、渡航者は自由に国境を行き来できる。

 シェンゲン協定が適応される国・地域の数は現在26で、4億2000万近くの人口を抱える。2023年1月からはここにクロアチアが加わり加盟国は27になる。またクロアチアは同日通貨をユーロに切り替えることも決まっている。

◆欧州連合≠シェンゲン圏
 27ヶ国と聞くと、EU加盟国と同じと思うかもしれないが、経済同盟であるEU加盟国とシェンゲン協定加盟国は一致するわけではない。

 現時点では、EU加盟27ヶ国のうち5ヶ国(クロアチア、ブルガリア、ルーマニア、キプロス、アイルランド)はシェンゲン圏に含まれていない。また、EU非加盟ながらシェンゲン圏に含まれる国も4ヶ国(アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイス)存在する。

Text by 冠ゆき