共闘する中ロ、対立に巻き込まれたくない第3諸国 分断進む、ウクライナ侵攻半年

ウクライナ・ハルキウ(9月15日)|Leo Correa / AP Photo

 ロシアによるウクライナ侵攻から早くも半年が過ぎた。欧米や日本はロシアへの非難を強め、ロシア指導部の渡航禁止、石油や天然ガスなどの輸入禁止など経済制裁を拡大している。それにより、スターバックスやマクドナルドなど世界的な欧米企業の撤退も相次ぎ、ロシア経済は大きなダメージと受けている。軍事面でも、米国など欧米諸国はウクライナへの軍事支援を強化し、ロシア軍は思うように進軍できず、兵士の脱走や給料未払いなど劣勢が顕著になっている。対ロシアで世界が一丸となっているかのような印象を受けるが、それは欧米世界で語られることであり、全体を見れば世界の分断はいっそう進んでいる。

◆「大国」中国という存在
 今日でも、ウクライナ侵攻は抑圧されてきたロシア系住民を守るためだと、プーチン大統領は強気の姿勢を貫いている。プーチン大統領を支えるものとはなんだろうか。まず考えられるのが中国という存在だ。ウクライナ侵攻により、欧米とロシアの亀裂は決定的なものとなったが、米国を最大の競争相手と位置づける中国にとってロシアは戦略的共闘相手となった。

 当然ながら、中央アジアでの覇権など中国とロシアには相容れない問題もあるが、対米という点ではお互いが最大の共闘相手といえる。中ロ両国は、エネルギー資源など経済・貿易面で結束を強化するだけでなく、9月に入っても両国は日本海やオホーツク海で合同軍事演習を実施するなど、米国や日本をけん制し続けている。ロシアにとって、中国という存在はこれまでになく大きくなっている。

Text by 本田英寿