ブレア元英首相「西側は結束して中国に対応を」 語る世界の変曲点

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 イギリスのトニー・ブレア元首相が、英ディッチリー財団の年次講演会でのスピーチで、今世紀最大の地政学的変化は、ロシアではなく中国発になるとし、世界は少なくとも二極化し、多極化する可能性があると述べた。欧米の政治的・経済的支配は終焉を迎えつつあり、中国の台頭に対し整合性のある戦略を展開するため、西側諸国は自国の政治を立て直し結束すべきだとした。

◆世界の変曲点へ 西洋民主主義優位は終わる
 ブレア氏は、ロシアはかなりの軍事力を持っているが、その経済規模はイタリアの70%だと指摘。それに比べて中国のパワーはまったく違う次元にあり、人口は13億を超え、経済規模は米国とほぼ同等だと述べた。中国は過去20年間、積極的に世界との関係を構築しており、古代から傑出した文化を持ち、人々はますます教養を身につけ豊かになっている。よって超大国になるのは当然で、ソ連の場合とは違うとしている。

 いまや中国はテクノロジー分野でアメリカに追いつき、ほかの分野でも追い越す可能性がある。世界には第二次世界大戦やソ連の崩壊といった変曲点があったが、本質的に西洋の民主主義が優位にあった。しかしいま、現代史上初めて東洋が西洋と対等に渡り合える時代となり、中国が影響力を競い合い積極的に行動しているという現実があると同氏は述べる。

 そのうえ中国は一人ではなく、ロシアだけでなくイランが同盟を結ぶ可能性もある。ウクライナをめぐってのG20での分裂が示唆するように、利害関係や西洋への嫌悪感から中国寄りになる国、指導者が非民主的な体制に傾倒する国、一部だけ中国に引っ張られていく国も出てくるだろうと同氏は見ている。

Text by 山川 真智子