米、先進的な地対空ミサイルシステム「NASAMS」をウクライナに提供へ

NASAMS の発射機|Ministerie van Defensie / Wikimedia Commons

 米国防省は近く、高度な地対空ミサイルシステム「NASAMS」をウクライナに提供するとみられる。ウクライナ軍はすでにドンバス東部の防衛にミサイルを効果的に活用しており、苦戦が続く昨今の情勢を改善する可能性がある。

◆ワシントンの防衛にも使われているNASAMS
 AP通信(6月27日)は、政府関係者による非公式の情報として、バイデン政権がウクライナにNASAMSを提供する計画であると報じている。提供が実現されればウクライナは、ロケットおよびミサイルによる長距離攻撃能力を得ることになる。

 NASAMSは、米ワシントンDCでも用いられているミサイル防衛システムだ。米軍事ニュースサイトの『19フォーティ・ファイブ』(6月28日)は、「2005年以降にワシントンDCの国会議事堂周辺を歩いたことがある人であれば、誰もがNASAMSのシステムの保護を受けている」と紹介している。同システムは、ノルウェーが開発した発射管制システムとアメリカのレーダー技術を組み合わせたものだ。中長距離防衛に適しており、スティンガーよりも広範囲の防衛能力をパトリオットよりも安価なコストで提供する目的で開発された。システムは発射装置、レーダー、制御装置からなり、いずれも中央の管制センターから最大12マイル(約19キロ)離れた地点に分散配置可能だ。

Text by 青葉やまと