ロシアが「スヴァウキ回廊」を攻撃する? リトアニアとの対立で高まる懸念
◆バルト三国の危機? 世界大戦の可能性も
もっとも、EUはロシアの報復の可能性を心配していると英ガーディアン紙は述べる。恐れているのは、カリーニングラードと親ロシアのベラルーシを結ぶ約65キロのスヴァウキ回廊がロシアに攻撃されることだ。ここはポーランドとリトアニアの国境地帯でもあり、ロシアに奪われれば北側にあるバルト三国が、ポーランドとその南にあるEUやNATO加盟国から切り離されてしまう。
2016年のランド研究所の報告書では、バルト三国はわずか数日で制圧され、NATOが侵攻に対抗するのは困難だという見方が示されている。スヴァウキ回廊は、そのような侵攻の際にロシアにとって重要になると見られていた。ロシアの侵攻はNATOの第5条相互防衛規定を発動させる可能性があるが、問題はNATOが第三次世界大戦と核のハルマゲドンのリスクを冒してまで回廊を守るかどうかだと軍事関連サイト『19FortyFive』は述べている。
◆挑発で終わるか? ロシアの出方読み切れず
ロシア国営放送のコメンテーターは、西側の取る瀬戸際政策で第三次世界大戦へのカウントダウンが始まっていると非難し、大いに盛り上がっているという。リトアニアのアヌサウスカス国防相は、ロシアの挑発行為の危険性に警告を発したが、NATOの同盟国を信頼していると付け加えた。エストニアのカラス首相は、ロシアは制裁を緩和するためにEUに圧力をかけようとしており、恐怖心を利用したロシアお得意のやり方であるとして、軍事的脅威とは考えていないと述べた。(AP)
19FortyFiveは、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟申請でバルト海がNATOの湖となる可能性もあるため、プーチン大統領が早急に行動を起こすこともあり得るとしている。その一方で、ロシアはウクライナでの長く激しい戦いから簡単に良い結果は出ないという教訓を学んでおり、スヴァウキ回廊からの侵攻は賢明ではないと考えるかもしれないとしている。結局侵攻すればまずい結果になると見ているが、プーチン大統領は依然として予測不可能なワイルドカードだとし、先を読み切れないでいる。
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