米欧日韓VS中ロとなるのか 中ロ首脳電話会談、それぞれの思惑・本音

ロシアのプーチン大統領(左)と中国の習国家主席(北京、2月4日)|Alexei Druzhinin, Sputnik, Kremlin Pool Photo via AP

 一方、プーチン大統領にも狙いがあったはずだ。正直、ウクライナ侵攻でここまでロシア軍が手こずり、フィンランドやスウェーデンが北大西洋条約機構(NATO)加盟を申請し、世界経済が混乱することは想定していなかったと思われる。プーチン大統領としても国際的孤立はなるべく避けたいと思っており、そういう意味で中国との戦略的関係を重視している。そして、プーチン大統領は米中の戦略的競争を当然理解しており、ロシアが中国に接近することを習氏も望んでいるとある意味確信的な思い抱いているはずだ。ロシアにとっても対米欧において中国との戦略的共闘は手段として有益になる。

◆NATO首脳会談に日韓指導者が出席
 今月末にスペイン・マドリードでNATOの首脳会議が開催されるが、同会議に岸田首相と尹大統領が出席する予定になっている。岸田首相は15日の記者会見で、「欧州とインド太平洋の安全保障は不可分であり、力による一方的な現状変更は世界のどこであれ認められないということを訴えていく」との決意を表明したが、根底には中ロに対するけん制網をユーラシア大陸の両面から強化していきたい狙いがあるだろう。一方、尹大統領は、価値観を同じくする日本や米国、オーストラリアなど自由民主主義陣営のなかで韓国が出遅れるリスクを懸念し、同陣営との急速な関係強化を今回の会議出席で内外にアピールしたいはずだ。

 こういった国際関係を見てくると、米欧日韓VS中ロというような構図が今後より鮮明になってくる可能性がある。もちろん、国によって優先順位や距離感が異なり、そうならないよう色々と手探りや政策が行われるはずだが、陣営同士の競争というものは今後より鮮明になるだろう。

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Text by 和田大樹