親ロ派市長への爆発攻撃もか ロシア占領地でパルチザン活動が活発化

Natacha Pisarenko / AP Photo

◆ゲリラ活動は拡大傾向 正規軍が関与か
 アメリカの歴史学者でありウクライナ情勢に詳しいアレクサンダー・モティル氏は、軍事ニュースサイト『1945』(5月29日)への寄稿を通じ、こうしたゲリラ活動は増加傾向にあると指摘している。モティル氏はウクライナ正規軍が関与している可能性にも触れている。また、ゲリラ活動の数については「印象的」であり、「さらに大規模な反乱行動が行われる傾向を物語るものだ」と分析している。

 正規軍の関与を指摘するのは、英エコノミスト誌(6月5日)も同様だ。占領地での抵抗活動は、ウクライナ軍の一部門である「特殊作戦部隊(SSO)」と呼ばれる部隊が指揮調整しているのだと報じている。同部隊の元諜報員は、同誌の取材に匿名で応じた。それによるとSSOは軍事行動と支援活動に加え、心理戦を柱の一つにしているのだという。鉄道の破壊など物理的な工作に加え、 SSOの監視網が占領地域に行き届いていることをアピールすることで、戦地に向かうロシア兵の数を半減させる狙いがあるという。

◆毒入りパイ事件もゲリラの一環か
 直近で発生したゲリラ攻撃としては、ロシアの国境警備隊6名が死亡した北部国境検問所での銃撃事件などがある。また、4月ごろには、ウクライナの地元住民がロシア兵に毒入りパイを振る舞い殺害したとの話も報じられた。ゲリラ活動は全容の把握が難しく、個々の事件へのパルチザンの関与は不明だ。しかしガーディアン紙は「少なくともはっきりしているのは、パルチザンの戦いは長期にわたりよく練られてきたということだ」と述べ、一定の成果を認めている。

 占領下の地域では物価高騰や略奪の横行などが続き、住民の不満は募る。エネルホダルのドミトロ・オルロフ市長はNYT紙に対し、「侵略者に対して当初は中立的であった市民でさえ、ロシアによる占領に不満を示し始めた」と語る。パルチザンへの協力者は今後も増加しそうだ。

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Text by 青葉やまと