テンペスト計画に参加する道も? 次期戦闘機、日英共同開発へ

次期戦闘機のイメージ|防衛省 / Wikimedia Commons

◆アメリカから軸足移す
 F-Xについてはこれまで、米ロッキード社のF-22をベースにF-35の一部機能を混成する案が有力視されてきた。英エクスプレス紙(5月22日)は、BAE社への接近が日本政府の「アプローチの変更」を意味すると見る。プロジェクトに関しては過去2年ほど、ロッキード社とのあいだで「調整不足」が問題となってきた。日本側がコストの肥大化を嫌ったとの見方もある。

 日米の協力関係をめぐっては以前、F-22を追加調達したい日本に対し、アメリカはその要請を拒否している。テレグラフ紙はこの一件をもとに、「アメリカとの協力関係が冷え込むだけの十分な理由が、とくに日本にはある」としている。アメリカの輸出規制は兵器の最終的な用途を米側が監視することを条件としているが、この規定は厳格すぎるとの指摘がある。

◆エンジンなど共同開発へ
 アメリカと距離が生じるのと同時に、日本はイギリスとの協力を強化している。昨年末にはジェットエンジン製造の英ロールス・ロイス社が、日本のIHI(旧称:石川島播磨重工業)との次世代戦闘機用エンジンの実証機の共同開発で合意した。ある航空アナリストはテレグラフ紙に対し、F-Xに関しては開発計画そのものの統合はないだろうとの見方を語っている。しかし、戦闘機に求められるパーツにはエンジンや飛行制御装置などさまざまなパーツがある。別の防衛アナリストは、レーダーなど特定部品の共同開発で協力を進める余地は十分にあるとの見方を明かした。

 一方でワー・ゾーン誌は、テンペストとF-Xがエンジンだけでなく、ステルス性能に大きく影響するエアインテーク(吸気口)周りのエンジニアリングでも設計の共通化が可能との報道を取り上げている。「日英の正式合意があれば、三菱重工ほか日本の産業パートナーらにテンペスト計画参加への道が開かれる可能性が明確に存在する」としている。

 日英とも2035年ごろまでに次世代機の導入を目指しており、時期的にも双方の計画は合致する。緊密なパートナーシップが実現すれば、日英にとって得るものは大きいだろう。

【関連記事】
日英、戦闘機の次世代センサー「ジャガー」を共同開発 テンペスト、F-Xに搭載か
F3開発競争に米ノースロップも参入か 日本で「F-22 vs YF-23の戦い」再び?
次期「F3」、F22とF35のハイブリッドに? 米社打診 可能性は?

Text by 青葉やまと