次期「F3」、F22とF35のハイブリッドに? 米社打診 可能性は?

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 航空自衛隊のF-2戦闘機の後継機として、米ロッキード・マーティン社がF-22ラプターとF-35ライトニングIIをベースにした“ハイブリッド機”を日本政府に非公式に提案した。ロイターが複数の関係者から得た情報として報じている。これを受け、米防衛メディアや技術系メディアが早速、ロッキード案の「F-3」の性能や実現の可能性を論じている。

◆F-22の輸入断念を受けた“ハイブリッド”案
 国産支援戦闘機F-1の後継として2000年に就役したF-2は、三菱重工とロッキード・マーティンが共同開発した機体。ロッキード製 F-16を大型化した支援型の多目的戦闘機で、世代的には第4.5世代に分類される。世界最高性能のステルス戦闘機とされるF-22や中国の最新鋭J-20はその先を行く第5世代だ。そのため早くもF-2の旧式化を懸念する声が上がっており、2030年ごろから順次退役する見込みだ。それ以上に1981年に運用開始した主力戦闘機のF-15Jが著しく旧式化している現状から、日本政府は「F-3」の開発を急いでいる。

 政府は当初、F-22の輸入を希望していたが、米議会が最新技術の漏洩を恐れてF-22の輸出を禁じたことから断念(米軍向けの生産も高コストを理由に2012年の納品を最後に中止されている)。そのため、政府は「F-3」の自国開発に乗り出し、2016年に三菱重工製の試作機ATD-X(X-2)が初飛行した。ただ、戦後、戦闘機の開発を制限していた日本単独の技術には限界があるという見方が強い。米技術誌ポピュラーメカニクス(電子版)は、「第5世代機の量産に結びつけるにはほど遠かった」と、ATD-Xを評している。

 こうした経緯があり、防衛省は今、「国内開発、共同開発、既存機の性能向上の3通りを検討している。しかし、まだ決定には至っていない」としている(ロイター)。その中で、政府は共同開発案を米英のメーカー・政府に募っており、今回、最初の具体的な提案がロッキード・マーティンからあったというわけだ。ロイターによれば、同社と防衛省の間で非公式な接触があり、近く日本の情報提供依頼書(RFI)に対する正式な回答として、F-22とF-35の“ハイブリッド機”が提案されるという。

Text by 内村 浩介