艦艇寄港、軍派遣が可能か 中国・ソロモン安保協定締結 米豪阻止できず

中国の李克強首相とソロモン諸島のマナセ・ソガバレ首相(北京、2019年10月)|Mark Schiefelbein / AP Photo

 中国が南太平洋のソロモン諸島と安全保障協定を締結したことが発表された。この協定により、中国が南太平洋で軍事的な足掛かりを得ることも考えられ、アメリカと同盟国を悩ませている。

◆意図的だった? 米代表団来訪前に署名
 ソロモン諸島は、安全保障上の脅威に対処し、投資のための安全な環境を確保するため、中国とのパートナーシップを構築すると3月に発表した。ところがこの協定の草案が流出。治安維持のため軍隊や警察の派遣を認めることや、中国海軍の艦艇がソロモン諸島で補給を行うための条項が協定に含まれる予定であることがわかった。南太平洋はアメリカが長年にわたって影響力を持ち、その同盟国であるオーストラリアとニュージーランドが「裏庭」と見なしてきた場所で、欧米や近隣諸国から協定を推進しないよう求める声が相次いで出ていた。(ロイター

 米豪は中国が南太平洋で軍事的足場を築くことにつながる可能性があると懸念し、協定締結を阻止するため外交的な働きかけを行ったが成功しなかった。アメリカは18日に国家安全保障会議の高官であるカート・キャンベル氏をハイレベル会談の目的でソロモン諸島に派遣すると発表したが、中国は19日に協定が結ばれたと発表。ソロモン諸島のソガバレ首相も、両国の外相が協定に署名したことを確認したと述べた。豪シンクタンク、ローウィー研究所のミハイ・ソラ氏は、締結が急がれたことは「ほぼ確実」だと述べている(AFP)。

Text by 山川 真智子