「シリアの虐殺者」ドボルニコフ将軍がロ軍新司令官に 懸念の声が上がる理由

ドボルニコフ将軍(右、2016年)|Alexei Nikolsky / Sputnik, Kremlin Pool Photo via AP

 ロシアのプーチン大統領は、ウクライナにおける軍事作戦の司令官にアレクサンドル・ドボルニコフ将軍を任命した。ウクライナ侵攻に際し、これまで作戦全体を統括する総司令官は空位となっていた。ロシアとしては停滞する戦局を打破したい狙いだが、すでに国際法違反も指摘されるウクライナでの惨状に拍車をかける懸念がある。

◆「シリアの虐殺者」の異名
 新たに司令官に任命されたドボルニコフ将軍は、現在60歳の生え抜きの軍人だ。1982年に小隊長に起用されたのを契機に、順調に出世を重ねてきた。英ガーディアン紙(4月10日)は、ソ連式の軍教育を叩き込まれた保守派の将軍であり、民族の血と祖国の土地を重視する「血と土のナショナリスト」との評があると報じている。

 米政治専門紙のヒル(4月11日)は、「シリアの虐殺者」との異名を報じた。ロシア軍は2015年9月、アサド政権を支援し安定化させる目的で、最大都市アレッポの中心部を爆撃した。この戦闘では使用が禁じられているクラスター弾がロシア軍とシリア軍の双方によって用いられ、多数の犠牲者を出した。ドボルニコフ氏は最初の司令官としてこの空爆作戦を率いていた。

Text by 青葉やまと