反難民のハンガリー、ウクライナ難民を積極受け入れ 対応の差に批判も
ロシアのウクライナ侵攻で、ウクライナを脱出した人々が近隣諸国に押し寄せている。こうした人々の多くを受け入れているのがハンガリーだ。2015年の欧州難民危機以来、一貫して難民や亡命希望者に厳しい政策を取ってきており、今回の真逆の対応に疑問を呈す声がある。
◆受け入れ熱心 国境はフル稼働
ハンガリーは3月6日時点で累計18万人以上のウクライナ難民受け入れており、ポーランドに次ぐ多さだ。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、すでに200万人以上が国境を越えたと発表しており、現在の状況が続けばウクライナ難民は400万人に達すると推定している。
ハンガリーのシーヤールトー(Szijarto)外相は、すべての国境における通過地点は解放され、24時間稼働していると説明。ウクライナ人だけでなく、学生など合法的にウクライナに滞在していた人々も受け入れ、帰国の手配も助けていると述べた(移民に関するニュースサイト『インフォ・マイグランツ』)。アルジャジーラによれば、国境付近の小さな町でもボランティアや住民による献身的な支援活動が行われている。
◆ソフト路線へ 厳しい難民政策はどこへ?
実は民族主義的なハンガリーの政権は、ポーランドと同様に紛争、貧困、抑圧から逃れてきた人々を助けるEUの門戸開放政策に反対している。そのため「選択的同情」が移民・難民政策に反映されていると批判を受けてきた。
2015年にはバルカン半島を経由してEUに入る人々を抑止しようと、セルビアとの国境をかみそりつき有刺鉄線で封鎖している。さらに2016年7月になると、正当な手続きなしで亡命希望者を国境で押し返すことができる法律を成立させた。欧州司法裁判所はこれがEU法違反だという判決を下している。オルバン首相は過去に、「いかなる移民も望まない」と述べ、EUに助けを求める人々を「ムスリムの侵略者」と呼んだ。(アルジャジーラ)
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