中国はウクライナ情勢をどう見るか

Natacha Pisarenko / AP Photo

 ウクライナ情勢では依然として緊張が続いている。プーチン大統領は北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大、とくにウクライナのNATO加盟などには絶対妥協できない姿勢を示しているが、ウクライナの大統領はNATOに加盟する希望は不変だとの意思を示している。たとえ今回緊張が収まったとしても本質的なリスクは残り、いつかまた緊張が高まる可能性が高い。一方、世界の目がウクライナに集まるなか、筆者が注視しているのは中国がこれをどう見ているかという点だ。

◆対米で共闘姿勢を示す中露
 北京五輪の開催に合わせて訪中したプーチン大統領は2月上旬、北京で中国の習近平国家主席と会談し、NATOの東方拡大に反対することで一致し、台湾情勢と絡んで中国が求める「1つの中国」を堅持する姿勢を示した。中露はそれぞれが絶対的利益と位置づける項目で相互に支持することになったが、これを含んだ最近の中露情勢から、専門家やメディアの間では、仮にバイデン政権が十分な役割を内外に示せなければ、中国が台湾情勢や南シナ海での海洋覇権などでいっそう強硬な行動を取ってくる可能性があるとの声も聞かれる。

Text by 和田大樹