「弱腰」ウイグル人権決議に見る、日中関係の舵取りの難しさ
◆舵取りが難しい日中関係を如実に表す決議
いずれにせよ今回の決議から明らかなことは、現在の日中関係は舵取りが非常に難しいということだ。当然ながら、欧米諸国と中国の関係と、日本と中国の関係は異なる。地理的にも日本は中国と同じ北東アジアに位置しており、安全保障上の利害関係も欧米とはまったく異なり、政府の政策としての優先順位も違う。よって対中国で欧米と何もかも足並みを揃えること自体が不可能なことであり、日本は日本として中国と接していくことが現実の課題となる。このような事情に照らせば、今回の決議はさまざまな意見を考慮し、現実的な落としどころを見つけて採択された決議と言えるだろう。
岸田政権にとって最大の外交課題は、米中対立のなかどのように中国との関係を安定させるかだろう。今後も日中関係をめぐっては大きな問題が浮上してくるだろうが、岸田政権の手腕が問われることになりそうだ。
【関連記事】
日本企業も対応不可避、欧米でますます高まる「人権デューデリジェンス」意識
米中のはざまで難局を迎える東南アジア
北京五輪、ウイグル過激派は再び姿を現すのか
- 1
- 2