2022年の世界情勢の行方:試される日本外交の主体性
昨年2021年、世界情勢は大きく動いた。バイデン政権は人権問題を軸に中国に厳しい姿勢を貫き、英国やオーストラリアなどほかの欧米諸国も対中姿勢を大きく硬化させた。また、アフガニスタンでは米軍が撤退し、タリバンが実権を握ることになり、周辺各国を中心に同国の先行きを不安視している。ほかにも気候変動の影響が各地で顕著に見られ、その経済や安全保障への悪影響が懸念されている。では今年2022年の世界情勢はどうなっていくのだろうか。ここでは日本が深く絡む問題を中心にみていきたい。
◆米中対立、米欧VS中国は今年も必ず続く
まず米中対立。英国やオーストラリアなどを含んだ米欧VS中国は今年も必ず続く。昨年、米中対立、米欧VS中国という構図において、各国から譲歩や歩み寄りといった外交姿勢はほとんど見られなかった。米中は地球温暖化など協力できそうな分野では歩み寄る姿勢を示しているが、対立の高揚によってそれが進む可能性はかなり低いのが現実だ。今年も昨年同様、人権デューデリジェンスの高まりのように、企業などの経済主体もその行方を注視していくことを余儀なくされる。
◆日本外交の主体性が試される2022年
それに絡んで今年大きく注目されるのが日中関係だろう。メディアやネットでは中国と距離を置いていくべきだとする意見が目立つ。確かに中国の一方的現状変更に対して日本は毅然とした態度を貫くべきだが、日中関係は政治だけでなく経済という重要な領域も含んでおり、岸田政権は「政治と経済の狭間」という難しいなかでもベストな立ち位置を探すことになる。
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