中国の一帯一路に陰りか 参加国の反発拡大 米研究所が報告

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 リトアニアは6月に新型コロナワクチン2万回分を台湾に提供し、台湾の代表機関を首都ビリニュスに開設することを発表するなど、習政権が神経を尖らせることを実行し、中国との関係が冷え込んでいる。今回の背景には両国関係の悪化があることは想像に難くない。

◆パキスタンで標的とされる中国権益
 一方、パキスタンでは長年、地元の武装勢力による中国権益を狙ったテロが続いている。最近では、4月にバルチスタン州クエッタにある高級ホテルで爆発テロが発生し、イスラム過激派「パキスタン・タリバン運動(TTP)」が犯行声明を出した。当時、このホテルは駐パキスタン中国大使の宿泊先だったが、同大使は難を逃れた。また、7月にパキスタンのカイバル・パクトゥンクア州で中国人技術者たちが乗るバスが谷に転落し多数が死亡する事件が起き、パキスタン当局はTTPの戦闘員が爆発物を積んだ車両でバスに突っ込んだと発表した。さらに、8月にはバルチスタン州グアダルで中国人が乗った車列に対する自爆テロが発生。中国人1人が負傷し、地元の武装勢力「バルチスタン解放軍」が犯行声明を出した。

 当然ながら、このような対立、反発はリトアニアとパキスタンだけではなく、ほかの国々からも聞こえてくる。最近ではアフガニスタン問題に焦点が集まっているが、仮に中国が同国への影響力拡大を試みれば、パキスタンの二の舞になる可能性は高いと言えよう。新型コロナウイルスの感染拡大によって中国への不満の声も高まるなか、一帯一路は今後さらに厳しい局面に直面する可能性がある。

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Text by 和田大樹