閣僚発表に現れた本性 多くの課題を抱えるタリバン

暫定政権の閣僚を発表するタリバン報道官(9月7日)|Muhammad Farooq / AP Photo

 タリバンは7日、暫定政権の閣僚ポストを発表した。それによると、首相には国連の制裁対象に指定されているモハマド・ハサン・アフンド師が就任し、内相には米連邦捜査局(FBI)が指名手配しているイスラム武装組織ハッカニ・ネットワークの指導者であるシラジュディン・ハッカニ氏、防衛相にはタリバン創設者で最高指導者だった故オマル師の息子ヤクーブ師がそれぞれ指名され、現最高指導者ハイバトゥラー・アクンザダ師は、いまだに公の場に姿を現していないものの、イスラム教のシャリア(厳格なイスラム法)に基づく国家統治を行っていくと明らかにした。

◆徐々に現れるタリバンの本性
 この閣僚ポスト発表を受けて感じるのは、やはり諸外国との関係構築は一筋縄ではいきそうにないということだ。米国など欧米諸国はタリバンとの接触を試みつつあるが、これまで欧米権益へのテロを実行してきたとみられるハッカニ・ネットワークの幹部が主要ポストに入ったことを米国などは懸念しており、欧米よりタリバンとの関係構築に積極的だった中国やロシアもこの件では良く思っていないはずだ。これまで習政権はタリバン幹部との接触を独自に進めてきたが、東トルキスタンイスラム運動などテロ組織との関係断絶をタリバンに求めており、これはタリバンと諸外国との安定的な関係構築にとって阻害要因となる可能性がある。

Text by 和田大樹